がんと向き合う

大腸がん 小腸がん 肺がん 膵臓がん 乳がん 子宮頸がん 卵巣がん 緩和ケア +plus イベント おしらせ


濱 敏弘 さん
(はま・としひろ)
癌研有明病院 薬剤部長
1980年明治薬科大学卒業。国立横浜病院、国立療養所中野病院、国立国際医療センターを経て、2006年より癌研有明病院に勤務。がん専門薬剤師認定試験委員長を務める。
movieImage
6自宅での服薬のポイント

「抗がん剤に限りませんが、薬は食事の後に服用することが多いです。理由のひとつ目に、食事の後に薬を飲むというルールで飲み忘れをなくすことがあります。ふたつ目は、食事と一緒に吸収することで胃腸障害が少なくなる、薬の吸収が安定するということがあります。

このため多くの薬は食後30分くらいに服用しますが、薬の中には食事の影響やpH(水素イオン指数:物質の酸性、アルカリ性の度合いを示す数値)によって吸収がとても高くなったり低くなったりすることがあります。このような薬は食事の影響を受けない空腹時に服用することが必要です。服用時間を守らないと、せっかく飲んでも効果が上がらなかったり副作用が強く出たりする場合があります。

薬をもらったら、薬の袋や薬の説明書に書いてある服用時間を確認をして守ってください。

特に抗がん剤は、間違って他の人が飲んでしまってはとても危険です。他の薬と交わらないように区別をして保管してください。薬を病院からもらった袋から出して缶などに入れて保管をしている方がいますが、見た目がとても似ている薬があったり、抗がん剤を袋から出して保管すると1日何回飲むのか、1回に何錠飲むのかわからなくなってしまうことがあります。病院から薬をもらった袋には薬の服用時間と服用錠数、お渡しした日付が書かれていますので、袋に入れたまま保管をしてください。

副作用が心配だからといって、勝手にお薬を飲むのをやめたり少なくしたりしないでください。よく効くかもしれないと多く飲まないでください。必ず指示された量を指示された時間に飲んでもらいたいと思います。

それから、他の病院や薬局でお薬をもらっている場合には、必ず医師や薬剤師に伝えてください。薬の組み合わせによっては、思わぬ副作用や相互作用がでることがあります。ぜひ守っていただきたいと思います。」

●服薬を忘れない工夫

「毎日決まった時間に薬を飲み続けることはなかなか大変なことです。ご家族などに協力してもらうことも必要です。服用を忘れないためには日記をつけてみることもよい方法だと思います。服用したかしなかっただけでなく、吐き気がひどかった日、熱が出た日、とてもだるかった日、調子がとてもよかった日など、簡単で結構ですので症状を記録してみてください。そして、その日記を次に病院に行ったときに医師や薬剤師に見せてほしいと思います。

医師は処方した薬は飲んでいるものとして判断します。正確な服用状況、どんな症状がいつ起きたか知ることは、治療の評価とこれからの方針にとってとても重要です。記憶ではなく記録として提示していただけると、きっとよい治療を受けることができると思います。

もうひとつの目的は、すでにがんが全身転移などをして手術ができない場合に行う全身化学療法です。この場合、がんの治癒を期待することは難しく、延命や症状を緩和することが抗がん剤治療の目的となります。」

●健康食品の併用について

「健康食品が医薬品と違うところは、臨床試験が行われていないところであると思います。薬というのは、決められたプロトコール(一定の手順)の中で臨床試験を行って、効くのか効かないのかデータをもっています。一方、健康食品はそのようなことがなく、必ずしも薬と同じような効果があるとは思えません。しかしだからといって効かないともいえないと思っています。患者さんがお飲みになっている健康食品ががんの治療を行ううえで邪魔になるかならないのかは、実は誰にもよくわからないと思います。続けていいのか止めた方がいいのかは、個別に主治医の先生とご相談していただくことがいちばんよいと思います。」