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Dr. FK さん
(ニックネーム)
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1957年生まれ。大学病院消化器外科医。1996年(39歳)末頃から血便などの気になる症状があり、年明けに大腸内視鏡検査を受けたところ、肛門近くに直腸がんがみつかる。信頼できる医師に手術をお願いし、直腸がん切除術を受ける。術中の判断で肛門は温存された。ステージは2、リンパ節転移なく、術後の抗がん剤治療なし。
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3瀬戸際の手術

「手術が終わったときは、なんとなくぼーっとしていました。結構、傷が痛いということもありますし、人工肛門にならなかったという話を聞いて、『あ、そうだったのか』というのがありました。しかし、人工肛門にしないほうがよかったのか、したほうがよかったのかというのは意外とわからないこともあるので、それでものすごく喜んだとか、逆に人工肛門になってしまって落胆したとか、そういうことはたぶんなかったと思います。

(腸と腸を)かなり下のほうでつないでいますから、うまくつながるかどうかというのが、結構心配な場所なのです。肛門のところの腸をつなぐわけです。その位置が、要するに人工肛門になるかどうか瀬戸際のところですから、本当にもうお尻からすぐのところでつないでいるので、くっつきが悪いことが結構あり、それをいちばん気にしました。心配しても仕様がないですが、それがいちばん心配ではありました。」

●瀬戸際の判断

「たぶん先生は意外と人工肛門のほうに傾いていたと思うのですが、もうひとり主治医になっていただいた上司の先生は、どちらかというと(人工肛門を)しないほうに傾いていた感じがありました。最終的に人工肛門にならなかったのは、ひとつには『だめだったらあとから人工肛門にすればいいよ』というのがありました。(腸と腸が)どうにかつなげられるのだったらつないで、日常生活がどうしようもなくなれば、もう1回(手術をして)人工肛門にするのはそんなに難しいことではないので、判断するときにそういうのもあったみたいです。だからそれは非常にいい判断をしていただいて本当に感謝しています。」

●術後の痛み

「(術後は)痛みが結構あり、普通の人だと1週間もしないうちに痛みが取れるのですが、(私は)痛みがずっと続いていました。

背中に痛み止めの(薬を注入する)管を入れるのですが、手術のあとものすごく痛みが強くて、もう1本管を入れてもらい、そこからまた痛み止めを入れたりして、2週間近く、かなり長いこと痛み止めを使っていました。

調べてもらうと、どうも筋肉のなかに血腫(血のかたまり)ができたみたいで、それが痛かった原因ではないかということでした。それ(血腫)は自然に吸収されるので、時間が経てば治るのですけど。

たぶん普通の方がそうしたら奇異に見られるぐらい、(私は)痛み止めを使いました。自分の病院だったので、看護師さんも知っているから『痛み止め、持って来て』と言って、自分でかなり使っていました。大丈夫ですよ、痛み止めは(たくさん)使っても、ええ。

やはり痛みというのはそれぞれ人によってあるので、痛み止めはちゃんと十分に使ってあげるというのは非常に大事だなと痛感しました。

確かに、病院に入院していてあまり『痛い痛い』と言うと、(医療者側は)『あの人は痛がりだから』という感じになってしまうこともあるのですよね、結構。だからそれは、患者さんは辛い思いをしていることがたぶんあるのかもしれないですよね。『痛い』というのは本人にしかわからないわけで、『あの人(があんなに痛がるの)はおかしい』などといろいろ言うのはおかしいだろうなと非常に思いました。」