がんと向き合う

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工藤裕美子 さん
(くどう・ゆみこ)
ブーケ(若い女性オストメイトの会)代表
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姫路市出身。23歳(1988年)のとき直腸ポリープ切除後、直腸がんと診断され、手術を受けて人工肛門を造設。退院後、仕事や妊娠・出産など女性のオストメイトの悩みを相談する機会や情報がないことを痛感。1999年に仲間と患者会(ブーケ)を作る。年3回会報誌を発行、「どんな状況でも直接手にとって読むことができるものを届けたい」という思いで全国の会員に発送している。
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3ストーマの情報を求めて

「(手術を受けた病院では情報がなかったので)日赤病院の患者相談室を訪ね、『人工肛門の人たちの会とかありませんか?』と聞いてみました。詳しい情報は全然なかったのですけど、日本オストミー協会兵庫県支部の支部長さんの電話番号だけがそこにありました。そこに電話をすると、『神戸で相談室をやっているから、一度来なさい』と言ってくださいました。

日本オストミー協会には、ETナース(現在は皮膚・排泄ケア認定看護師)の方を支部に招いて、一対一で装具の相談をさせてもらえる“相談室”というのがあり、私もそこに行ってはじめて専門家の人と出会えて、ストーマやケアに関するいろんな話を聞くことができました。すごく元気になれたし、他にも相談しに来られている方がいて、とても安心できました。

それまでは、(術後)何ヵ月間かですが自分ひとりだけでした。周りに人工肛門をつけている人もいなくて何もわからなくて。それこそ食べ物は何でも食べていいのか、ビールなどお酒も飲んでいいのかもわからないし、いろんな不安がありました。しかし日本オストミー協会に行ってはじめて変わったというか、いろんなことがわかりました。

結局、自分で動かないと病院では何もしてくれなかったのです。」

ET(Enterostomal Therapist)ナース : ストーマ(人工肛門・人工膀胱)をもつ患者のケアを行う専門看護師
●信頼できる医師と出会う

「日本オストミー協会で出会った先生に、『ちゃんと検査をしたほうがいいよ。検査してる?』と聞かれました。普通は半年〜1年ごとに検査するという話でした。

病院に行ったときに『オストミー協会で、“検査を半年ごとなど定期的にしたほうがよい”と聞いたけれども、私はしなくていいのですか?』と主治医に聞いたところ、『あなたはもう悪いところはとったのだから、検査は必要ないです』ときっぱり言われました。

その協会で出会った先生といろいろ話をするうちに、『今の病院、おかしいんちゃうかな』と思うようになりました。薬も15種類ぐらい出ていて、その先生のところに持って行って見てもらうと、『これもいらんし、あれもいらんし』と、どんどんいらない薬をはずしていくと、本当にいるのは『これぐらい』ととても少なくなったのです。

やはりだんだんと『信用できないな』と思ってくると、手術をしたこと自体も『間違いだったんじゃないかな』と思ったりもしました。

『どうしようかな』と思いながらも、最初はかけもちというか両方の病院に行くような感じでしたが、だんだんと手術した病院には行かなくなりました。

移った先の病院では、ストーマのことをちゃんと看てもらえたので、すごく助かりました。いつも診察に行くと、いい先生なのですごく人気があり、予約がいっぱいなのです。診察は少しの時間だけで、30分ぐらいほとんど私の愚痴を聞いてくださって、『いつでもグチ言いに来ていいよ。聞くから』と。だから精神面でもすごく助かっています。」