がんと向き合う

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工藤裕美子 さん
(くどう・ゆみこ)
ブーケ(若い女性オストメイトの会)代表
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姫路市出身。23歳(1988年)のとき直腸ポリープ切除後、直腸がんと診断され、手術を受けて人工肛門を造設。退院後、仕事や妊娠・出産など女性のオストメイトの悩みを相談する機会や情報がないことを痛感。1999年に仲間と患者会(ブーケ)を作る。年3回会報誌を発行、「どんな状況でも直接手にとって読むことができるものを届けたい」という思いで全国の会員に発送している。
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9洗腸法に変えた理由

「ストーマのことでそんなに悩むようなことはなかったのですけど、それでも30代になってくると結構お腹が痛くなるようになったのですね。自然排便でずっときていたのですが、何か出が悪いのです。出なくなるというか、20代の頃は普通にちゃんと出ていたのが、30代になると運動もしなかったからかもしれないのですが、腸の動きがすごく悪くなってきて、お腹が痛くなるとよく1時間ぐらい横になって苦しんでいました。苦しいのが終わると、下痢になってざっと出てしまうという、そんな現象がよく起こるようになりました。

お腹が痛くなるのが家だったらよかったのですが、外でも痛くなることがありました。職場でもなったことがあり、上司に『ちょっとお腹が痛い』と言って休ませてもらったりしました。

日本オストミー協会の活動で、役員のおじさんと一緒に出かけた帰りに『お茶を飲んで帰ろう』となりました。紅茶を一口飲んだ途端に固まって『うっ!!』となりました。お腹がすごく痛くなって、脂汗がたらたら出てきて、動けなくなってしまって1時間ぐらいその状態でした。

そういうことが立て続けに2回起きて、それまで何回もお腹が痛くなっていたのですけど、『これはちょっとたいへんだな』というのがあり、ブーケ(若い女性オストメイトの会)の中で何人かが洗腸をやりだしていて、『私も洗腸したらお腹痛いのなくなるかな』と思って先生に相談しました。私はちょうどストーマの出口の前あたりの腸が細くなっているので、大きな硬い便が出てくると、そこをふたしてしまう状況になってしまうということでした。そうすると上からは出したいというのでぐいぐい押してくるし、ストーマの出口で止まっているしというので、お腹がすごく痛くなる状況になっていたらしいのです。

洗腸をするようになってからはお腹が痛いのが本当になくなって、すごく楽になりました。でも時代とは逆行していて、本当は阪神淡路大震災のときにほとんどの人が洗腸をやめて『自然排便でいきましょう』と、今は病院でもあまり指導をしなくなってきているのに、私は最近になって洗腸をし始めて、6〜7年になります。」

Q.阪神淡路大震災以後、病院が洗腸の指導をしなくなってきたのは、なぜでしょうか?

「あのときは、神戸も震災で水が出なくなったです。洗腸は、お腹の中に入れるので汚い水ではだめなのです。あと冷たい水じゃだめで40℃ぐらいのぬるま湯を入れないといけないというのと、あと場所が必要です。それが全部震災のときにはなくて、ずっと洗腸を続けていた人たちがたちまち困ってしまったということがあります。そして洗腸をずっと続けていると、急に自然排便にしようと思ってもならないのですね。洗腸する体になってそういうリズムになっているので便が出ないということで、その反省もあって『なるべく自然排便にしましょう』と変わっていったんです。」