がんと向き合う

大腸がん 小腸がん 肺がん 膵臓がん 乳がん 子宮頸がん 卵巣がん 緩和ケア +plus イベント おしらせ
河崎睦美 さん
(かわさき・むつみ)
chart
1962年長崎県生まれ。3〜4年ほど痔の症状があり、48歳(2010年)のとき思い切って肛門科を受診、直腸に絨毛(じゅうもう)腺腫が見つかる。病理検査で悪性と診断され、直腸を切除、人工肛門を造設する。手術から約1ヵ月半後に保育士の仕事に復帰。自分が内部障害者となり、保育園の障害者・家族の気持ちにより寄り添えるようになる。万歩計をつけて散歩するのが楽しみ。コーラス歴17年。
movieImage
6意識の変化

「“がんに効く食べ物”とかという本を紹介されて買いました。一応それには術後半年は四つ足のものは食べちゃだめだとか、玄米食、野菜ジュースとかが書いてあります。私は野菜ジュースを作っても多分飲まないから、生協で買ったミックスキャロットジュースをとりあえず毎日飲んでいます。あとヨーグルトは前からずっと食べていて、花粉症がそれでずいぶん軽くなった気がするので、やはり免疫力を高めるのかなと4〜5年前からヨーグルトは食べるようにしています。

あと玄米食に変えたのは術後です。玄米は消化がよくないのでストーマに対してはあまりよくないのかなと思いましたが、噛めば一緒で、白米よりは玄米かなと思い玄米食に変えたのと、あと野菜は前も結構食べていたつもりですが、より意識して摂るようになりました。

あとはもう毎日ケラケラ笑って過ごせばいいかなという。“がんにこれが効く”というのはあまり惑わされないといったらおかしいですけど、あまりそういうのはやっていないですね。」

Q.お肉は食べなくなったのですか?

「『お肉を食べないほうがいいよ』というのがあって、確かに手術して半年ぐらいは食べたくなかったですね。そんなに肉を食べよう、食べたいとも思わなかったので『体が欲してないんだ。これが普通なのかな』という感じです。」

Q.玄米に変えて、体の調子は何か変わりましたか?

「すごくいいというか、主人が『すごく調子がよくなった』と言っていますね。玄米をちょっと食べないと、『あぁ、だめだ』と言っているから、やっぱりいいのかなと思います。却って彼のほうが『玄米、玄米』と言っていますけど。」

●万歩計をつけて歩く

「昨年、49歳の誕生日に友達が万歩計をくれて、『こんなのつけてもきっと三日坊主』と思っていたんだけど、意外と数字に出ると『よし歩こう』と思うようになって、もう半年以上毎日その数字を励みに歩いています。(1日に)なかなか1万歩はいかないですけど、1万歩いくと『やったー!』という感じです。そういう意味では、ちょっと意識して歩くようになった。運動がもともと好きではないので、そういうことで健康を維持しようかなと、意識がちょっと変わりました。家の周りを30分とかそんなものですけど、ひとりでフラフラと歩いています。」

●ハードルが低くなる

樋口強さんという、生存率が低いと言われているがんでもう15年生きている方がいて、その人の話を聞く機会がたまたまありました。そのときに『生きてるだけで金メダル』という言葉があり、みんながんになったら『もっと生きたい』と思うけど、『あなた生きて何がしたいの?そこが問題じゃないですか?』と言われたときに、『あ、そっか。私、何がしたいんだろうな』と思いました。『ただ単に生きる、命の長さではなくて、その中身の濃さなんじゃないか』ということを言われて、『あぁそうだな』と感じました。『自分に毎日イベントを1個でいいから作りなさい』と言われ、それは『毎日毎日大切に生きていこう』ということだと思うのですけど、『そうだな』と思いますね。

いつも意識はしていないですけど、どうせ同じ1日だったら笑っているほうがいいし、楽しいほうがいいというのは意識しているかな。あまりカリカリ怒らなくなった、仕方ないかなというか。やっぱり職場でもいろいろ人間関係とかあるじゃないですか。でも『あの人も悪気があるわけじゃないし、しゃあないね』と結構さらっと流せるようになりました。『まぁ、いっか』というハードルがすごく低くゆるーくなった。『これ以上低くなってどうするの?』と、よく主人に言われたりするのですが。」

* * *

※ 済陽高穂 2008年 『今あるガンが消えていく食事』 マキノ出版