■壁に1週間分の薬をセット

「薬が多いときは10種類くらいあり、全部食後に飲むようになっています。せっかく苦労して与えてくださっている薬ですから、自分も努力しなければと思い、何がなんでも食事をきちんとして、薬をきちんと管理すること、それだけは絶対に自分でやろうと心がけています。あれだけの薬を管理していくのは、先生も『よくやるね』と言ってくださるのです。イレッサは1日おきにだいたい朝9時に飲みますし、オキシコンチンという麻薬系の薬は12時間おきに10mgずつ朝と夕方に飲み、寝る前に5mg飲みます。そのほかに何種類かの薬がありますから、生きていたければ自分でそれだけはきちんとしようと、そういう気持ちで1週間ずつ自分でセットして、いちばん目の届くところに置いて、飲み忘れないように心がけています（写真）。

大きな息をしたり、体の向き具合で、やはり左脇とか胸が少し痛くなったりということがあります。（オキシコンチンを）飲んでいるとたいして痛みは感じないので、緩和の先生も『調子が良ければもう少し量を減らしたい』ということで、10mgずつ飲んでいたのを5mgにしたことがあります。そうするとやはり痛みをちょっと感じるので、先生にすぐお話しして『もう少しこの状態でいきましょう』ということで、今また10mgに戻しています。たまに強く痛みを感じるときには、オキノーム*を飲んでいます。オキシコンチンと同じ内容らしいのですが、即効性があるので、痛みが強いときはそれを飲むと治まっていきます。

それと月に1回くらいですが、朝起きたとき突然めまいがすることがあり、最初はわからないで、めまいが治まるまでじっと寝ていました。それを先生にお話ししたら、薬を出してくださり『おかしいなと思ったときに早めに飲んで様子をみるように』と言われています。それからは出かけるときも安心のために必ず1錠は持って出ています。今のところそれも治まっているようで、どれが副作用かということもあまり感じないで過ごしています。 」

イレッサR錠　（一般名：ゲフィチニブ） 肺がんの治療に使われる抗がん剤の一種。がん細胞だけでなく正常な細胞にも作用する従来の抗がん剤とは異なり、がん細胞の増殖や転移などに関わる特定の分子をターゲットにする「分子標的薬」という新しい抗がん剤。手術適応のない再発した非小細胞肺がんの患者さんに使われるが、有効となるタイプの患者さんは限られていると言われている。また重大な副作用（間質性肺炎）が現れることもあり、使用にあたっては十分な注意が必要とされている。

オキシコンチンR錠、オキノーム散剤 （一般名：オキシコドン塩酸塩水和物） 飲み薬のオキシコンチン錠とオキノーム散剤は、がん疼痛治療のための医療用麻薬。医療用麻薬のモルヒネと同等の鎮痛効果がある。緩和治療における痛みのケアでは、長時間（12時間）効果が持続する徐放剤のオキシコンチン錠を定期的に服用し、徐放剤を服用しても起こる痛みに対しては、速放剤のオキノーム散剤で対処する方法（レスキュー・ドーズ）が用いられる。そして、速放剤が必要となる場合は、定時の徐放剤の増量が検討される。