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小川 清子さん
小川 清子さん
(おがわ・きよこ)
1955年生まれ。島根県益田市在住。2007年に肺がんと診断され病院を転々としたのち、専門病院での抗がん剤治療が奏効し、現在は自宅で療養中。喫煙歴なし。夫と息子、娘2人の5人家族、現在は夫と2人暮らし。1998年に益田駅近くに一軒家を借りて、子供からお年寄りまで地域の人の交流の場としてNPO法人息域(いきいき)スペース ポコ・ア・ポコを開設、現在はがん患者のためのサロンも月に2回開いている。
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5価値観の変化

「これはほとんどの体験者の方が言っておられるように、本当に価値観がすごく変わりました。今までは主語が『私が』だったのですが、主語が変わったように思います。私は、宗教は特別のものをもっているわけではないのですが、やはりなにか大きな力というか、大きなものに支えられて今があるのだというのを感じています。

一見、マイナスに見えるところにも必ずプラスがある、そういうのを病気になってすごく思いますし、それと同じように、ご縁だとか、出会い、この不思議さであったり、面白さですね。やはり『命』とか、『生きる』というところに直面しているから、余計に思うのかなと思います。がんのおかげというか、よく本には『神様からのメッセージ』だとか『贈り物』だとか言われていて、きれいごとですぐそう頭では理解できないときもあるのですが、でもやはり本当に偶然ではなくて、ある何かに気づかさしてもらうために、この病気をいただいたのだなというのは、本当に今思います。

この間も一緒に入院していた友達が、私より少し若いのですが、もうだんだん悪くなってきているのですね。やはり死の不安感をすごくもっていて、『全脳照射でなけんともう駄目になっちゃった』と力を落とした声で電話してきてくれたのですが、その人にいざどう手紙を書こうか、どう言葉をかけようか、言葉が出ないのですね。でも言えるのは『大丈夫』というか、本当に漠然とした大丈夫なのだけど、やはりあまり先を思って、不安がらなくても、本当にいちばんいいときに出会いや縁としてやって来るし、私たちは大きなものに包まれて、支えてもらっているから大丈夫なんだよ、というのは何か本当に今心から湧いて出ている時期です。

でもこの気持ちもころころ変わりますので、また数時間後、何日後かには落ち込んでいるかもしれないのですが、でも前より少し早く立ち上がれたり、長い時間考えずに切り替えできたり、そういうのが自分なりに少し見つけられたかなと思っています。」