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川上 祥子さん
川上 祥子さん
(かわかみ・さちこ)
NPO法人キャンサーネットジャパン 渉外・広報担当理事

看護師。東大病院放射線科病棟にて臨床看護に従事。2000年より現職にてEメールによるセカンドオピニオン相談窓口として患者と医師のコーディネーションを担当、累計2000件以上の相談を取りもつ。

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9痛みに対して家族ができること

「痛みについては本当にいろいろな痛みがあるのです。いろいろなことが原因で痛みがあって、ただ痛いといっても、その性質がわからなければ的確なアドバイスをできないですし。家族がみていられなくて何かしてあげられることはないかという相談に対しては、まず、手でこうなでてあげる、さすってあげるというのはすごくいいことなのです。痛みを伝える神経と(比べて)なでる感覚を伝える神経のほうが早く脳に到達するらしくて、それでちょっと痛みがまぎれるというのがあるみたいですね。ただそれも骨折しているところをこう強くなでてしまったりしてはいけないので、そういうのも、メールではお答えしにくいので、現場で実際にみて、アドバイスするしかないと思っています。そのほかに家族ができることとしては、その痛みがいつ、たとえば食事をしたあとに痛くなるとか、特定の状況で痛くなる場合もあれば、あるいは何かおくすりを飲んでいたり注射していたりした場合は、そのおくすりが切れてくるようなときに、飲んでから何時間後に痛くなるとか、どういう姿勢をしたら痛くなるとか、そういう細かいことは本人や家族が観察できることなんですよね。ただ痛いんですと先生に伝えても、先生はどういうふうに対処していいのかわからないので、どういう痛みでどんなときにどんなふうに痛むのか、ということをよく観察して、たとえばそれを、お家にいるときの状況を表にまとめてみたりとか、いつおくすりを飲んだ、いつ痛くなったっていうような表にまとめたりとか。多くの病院ではその表をお渡ししたりとかしていますね。あと、ニコちゃんマークで、「いま全然痛くない、ちょっと痛い、すごく痛い」、みたいなフェイススケールという、そういうもので痛みの度合いを測ってお伝えするようなシステムがあったりするので、どんな痛みかがわかりさえすれば、医療側は何かアクションができると思うのです。そのあたりをご家族は普段からよく知ってるわけですから、その人の痛み具合、こんなこと普段は言わないのにこんなことまで言っているとか、そういうことも医療者にとっては貴重な情報源になります。何でも痛みに関係ありそうなことは記録してまとめて伝えるということができると思います。」