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山内 梨香さん
山内 梨香さん ②
(やまうち・りか)
看護師
盛岡市在住。2005年末、32歳のときに乳がんと診断される。手術、抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法を経て(詳細はこちらをご覧ください)、2008年9月より再び抗がん剤治療および、医療用麻薬による痛みの治療も受ける。現在、午前中は看護師として仕事をするかたわら、午後は講演会なども少しずつこなしている。自費出版した闘病記『がけっぷちナース がんとともに生きる』が2009年3月に飛鳥新社より新装刊。ブログ:「生きてる喜び日記
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2痛みの治療に向き合う

「以前は、昔の麻薬のイメージにとりつかれていて、『(医療用)麻薬を使うと意識が混濁する』とか、痛みはとるかもしれないけれど『中毒になってしまう』といった意識があり、医療用麻薬になんとなく抵抗があったというのはそこなのです。でも最近は自分でも勉強してきて、麻薬は上手に使えば中毒になることもないし、今は貼るタイプで、副作用の少ないよいおくすりが出ているということを知って、『使ってみようかな』という気になりました。おくすりをいろいろ飲んでいるので、肝臓にこれ以上負担をかけるのはどうかと思いましたが、貼り薬だと(成分が)経皮から吸収されるので、肝臓にあまり直接はダメージを与えないかな・・・という思いもあり、パッチを選びました。」

●パッチの貼りかえ

「パッチの貼りかえは3日に1回です。ときどき忘れて、『あれ、いつだったっけ?』とすごく考えます。本当は何月何日と書くシールもあるのですが、私は面倒くさがって自分の頭の中で覚えていて、『たぶん今晩、貼りかえだ』とか、そのような感じです。

(貼っていると)貼っていることを忘れますね。最初はやはり痛いのですが、パッチを貼ると痛みがとれるので、自分ががんだということも忘れられるのと、あと何か少し幸せな気持ちになり、自分のやりたいこともできます。効いてくるのは貼った瞬間からではなく、何時間かはかかります。パッチをとってからでも17時間くらいは血中濃度が保たれているようなので、パッチをとってもいきなり痛くなるということはないです。」

●痛みが強いときは

「なんとなく刺さるような痛みが背中にきて、『あぁ今日(パッチを)かえないと・・・』というときもあります。あと天気が悪くなる前の日は足の骨が痛いのです。パッチを貼りかえても痛かったりするので、そういうときはレスキューという応急処置で、1日3回までボルタレン坐薬を使ったり、ロキソニンというおくすりを飲んだりして、なんとかかんとか(痛みを)まぎらわしています。」

●痛みを感じる場所

「肝臓というより、ここのわき腹と背中なのです。横隔膜を刺激してたぶん背中が痛かったのだと思うのですが、最初にすごく痛かったのは(2008年)9月くらいです。仕事中に『痛っ。痛っ。』となり、動けなくなってしまうくらい、すごく痛かったです。あのときの痛みに比べればすごく楽になりました。ちょっと疲れたり食べ過ぎたりしてもやはり背中が苦しく、痛いな・・と思ってしまうのです。この間は、診察した次の日に胸骨のあたりがすごく痛くなり、痛み止めを飲んでも治らないのでおかしいな・・と思い、先生に診てもらうと、別になんでもなく、ただの筋肉痛でした。そういうこともあります。」

●ひとりでいると痛みが強くなる

「歩きすぎたり、疲れすぎたりすると、足がだるくなる・・・というか、痛くなります。あまりにも痛いときは、とにかくお風呂に入って体を温めるようにしています。そうすると痛み止めのおくすりを飲まなくても、『あぁ。だいたい、よいかな・・・』というぐらいに結構(痛みを)まぎらわせることができたりします。あと私は眠剤(睡眠導入剤)など精神科のおくすりも飲んでいるので、それを飲んで寝られるときはもうガッと寝てしまいます。やはり朝よりも夜のほうが痛みは強くなるのですね。なぜだろう。なにか自分の内にこもってしまうというか、暗ーく暗ーくなってしまうので、そういう考え方も痛みに影響しているのかなと思います。あと痛みはひとりでいると強くなるような気がします。誰かと一緒にいておしゃべりしているだけでも、痛みは結構忘れられるのではないかなと、最近はそう思っています。

お笑いのDVDもたまに観るのですが、ひとりで観て笑っていても空しくなるときが多いので、最近はもう半身浴ばかりしていて、1日3時間くらい(お風呂に)入っています。そうすると、痛みがとれて結構汗もかいてすっきりして眠れる感じなのです。うちの親もたまに来るのですが、溺れてないかと心配して覗きにきます。仕事の原稿や本など、とにかくいろいろなものを持ち込んで、お風呂の中でやっています。でもお風呂がすごく大好きです。やはり体が温まるのは、病気にもいいのだなと思います。入浴剤などもいろいろ変えられて楽しいし、癒されるので。」