統合失調症と向き合う

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岡崎 祐士さん
岡崎 祐士さん
(おかざき・ゆうじ)
都立松沢病院 院長
1943年熊本県生まれ。東京大学医学部卒業。長崎大学助教授、三重大学教授などを経て、現在、精神科病院ながら内科・外科等の諸科を有する東京都立松沢病院院長として精神科医療に従事。日本統合失調症学会理事長、日本精神神経学会理事なども務めている。
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6早期発見のポイント

「なにも統合失調症に限ったことではありませんけれども、これは外国でもやられた試みなんですが、一般科の先生方が精神科の病気をなかなか診断できないので、どうしたら気づいてもらえるかということで、数項目だけ聞いていただくだけでもずいぶんその発見率が高まったということがありまして。ごく当たり前のことなんですが、ちゃんと従来眠っていた時間眠れていますかとか、食事をおいしく食べられますかとか、人といるときに緊張を感じるような変化がありましたかとか、それから自分の考えをうまくまとめて表現できますかとか、ごく基本的なことについて、1週間あるいは2週間、以前と違って調子悪いなと感じるようなことがありましたら、気楽に相談していただくというのも非常にご自分の健康を守るうえでは大事かなと思いますね。」

●治療はなるべく早く始めたほうがよい

「私は、ずっと一貫して、できればこの病気にならないで済むようにできないか、あるいはなりそうになってもなんとか回避できないか、あるいはなっても軽症に済ますことができないかということに関心がありまして。どういう方がなりやすいかとか、どういうことがあったらなる傾向が強まるかとか、そういったことを知ろうと思ってずっと研究してきたということがございます。現在、そういった研究も取り入れられて分かったことは、この病気が始まってなるべく早くから治療を開始すると数年後の病気による生活への障害や、入院の期間などが軽くなるということが、だんだん、わが国が先ではなくて、オーストラリア、イギリス、米国とかで証明されて(きました)。したがって、病気が始まって1年も2年も経ってからではなくて、なるべくすぐに治療を開始されるようにしようということの取り組みが、今、どんどん始まっているんですね。その結果がやっぱり非常に良いと言うことが分かってきましたので、いろんな方々と協力しながらそれを普及するように取り組んでいます。で、そういうふうになる前にさらに、例えば中学生とか高校生の方々の中に、そういう思春期で、ごく軽い症状を体験する方がいらっしゃる。そういう方がみなさん病気になるということではなくて、その中のごく一部の方が病気になるのだけれども、そういう症状を体験する方はいろんな問題を抱え込みやすいということが分かっています。で、多くの方は自分なりに克服していかれるのですけれども、いろんな悪条件がそれに重なりますと病気になる可能性が高くなりますので、そういう方についてはどういった手だてを講じたら悪い条件に遭遇しないで済むかというようなことを含めまして、いろいろな試みを学校あるいは地域の方などと協力してやっています。」

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