統合失調症と向き合う

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西田淳志さん
西田 淳志さん
(にしだ・あつし)
東京都精神医学総合研究所
2008年に三重大学大学院医学系研究科を修了(医学博士)。同年、東京都精神医学総合研究所に研究員として着任。その後、University College of Londonの客員研究員、東京都医学総合研究所の主席研究員、プロジェクトリーダーを経て、2020年に同研究所の社会健康医学研究センター長に就任(現職)。
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8早期支援と病名の告知について

「(病名の告知については)非常に重要な点で、かつ早期の支援を考えていくときの大事なポイントになってくると思います。

これまで統合失調症という病気は、発病してしまうと非常に重くなってしまって、悲観的な病気であるというふうに考えられてきたし、そういう医学的な疾病感と言いますか、病気のイメージというものがサービスを提供する側にも強くありましたし、サービスを受けていらっしゃる方々にも強くあったというふうに言えると思います。ただし、これが最近、非常に変わってきているわけですね。統合失調症という病気でも、早くしっかり支援をしていくことによって、非常に明るい経過を得ることができる。仕事もできるし、勉強にも戻れるし、結婚ができるかもしれないし、病気によって非常に悲観的になる必要はないんだということが分かってきたわけですね。ですから、今まで病名を伝えないとか、曖昧(あいまい)にするということに関しては、『非常に悲観的なことを告知する』というイメージをサービスを提供する側の方々も強く持っていらっしゃったことが大きい原因だったのではないかというふうに思います。

ですから、今、早い段階でしっかり治療、支援に一緒に取り組めれば、希望を持って回復に向かえます、ですから、病気の名前が問題なのではなくて、この時期に取り組むことが非常に大事ですから、一緒に希望を持ってがんばりましょう、というような意味で、きちんと病状や、ある意味では病気の名前についても説明し、情報提供をしていくということが大事になってくると思うんですね。そういう意味で病気そのもののイメージというものが、早期介入というものが世界中で広まることによって、だいぶ変わってきました。それによって病名の告知という、悪いものを宣言するということではなくて、きちんと明るい希望に向かって、今ある情報を共有して、そこを基盤として一緒に取り組んでいこう、という大きい変化が起きてきている状況があると思うんですね。そこをこれからは、サービス提供者の側はきちんと切り替えていく必要があるだろうというふうに思います。」

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