統合失調症と向き合う

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渡邉博幸さん
渡邉 博幸さん
(わたなべ・ひろゆき)
国保旭中央病院神経精神科
地域精神医療推進部部長
1992年千葉大学医学部卒業、同大附属病院研修医を経て、1998年大学院修了後、同精神科助手。2007年より同講師を経て、2009年に現職に就く。地方での精神医療の活性化を図るため、精神疾患に特化した訪問看護ステーション「旭こころとくらしのケアセンター」の設立など、様々な地域精神医療の仕組みづくりに関わり、それらとの強い連携のもと精神科医療を実践している。
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4Q.地域で生活することを可能にするサービスは?

「スライドの漫画(図1)を見ながら、ご確認いただければと思います。今、いろいろな批判もありますが、『障害者自立支援法』に基づいてのさまざまな障害福祉サービスがございます。訪問系のサービス、日中活動を支援するサービス、それから居住を支援するサービスと大きく3つに分かれていますけれども、それぞれ3つが大変必要になってきます。」

図1. 障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス
(平成18年9月29日厚生労働省令第171号)による福祉サービスから抜粋
図1
●訪問系サービス

「まず訪問系のサービスとしては、ホームヘルプサービスですね。ホームヘルパーさんを利用して、お家での生活、特に家事とか買い物などをちょっと支援してもらう。それだけでも、退院してすぐの当事者の方達の負担が減ると思います。

長期に入院しておられますと、例えば銀行や郵便局のATMですとか、スーパーマーケットでの商品の買い方とか、あるいは電話の使い方も30年間で大きく変化してしまっています。お家に戻っても身の回りのことや、何か便利なものを利用することすらできなくて、便利なものがむしろ当事者の方達にとっては、『触ったらどうなっちゃうんだろう、使い方が分からない』という非常に困惑した状態になることが多いんですね。そういったときにホームヘルプサービスを利用しながら、電化製品の使い方なども教えてもらえるというメリットもあります。

必ずしも入院のときと同じように、食事も全部ヘルパーさん任せにする、掃除も着替えの服の折り畳みまで全部任せるということではなくて、何年何十年と入院している間に、ちょっと分からなくなってしまった生活上のいろいろな空白を埋めていくということが必要になると思います。」

●日中活動系サービス

「統合失調症の方は、日中独りぼっちになってしまって適切な情報が入ってこないと、いろいろ不安を先取りしてしまって考えなくてもいいことを考えてしまったり、気持ちのほうも沈んだり苦しくなってきてしまいますので、日中に何か楽しめる日課を持っていて、それを淡々と、毎日のように定期的にこなしていくことも大事になります。

日中は、ある時間になって起きて、ご飯を食べて外出して、そこで気の合う仲間や親しい方達とおしゃべりをしたり一緒に行動・活動をして、(家に)帰ってきて、心地良い疲れを感じながらお風呂に入ってゆっくりと寝る。こういう当たり前のような毎日の生活のリズムを維持していくことが、再発を防げる面があります。

日中の活動の場として、一番身近にあるものは、デイケアや、あるいは作業療法OTと言われているものだと思います。これは当事者同士の集まりが主体になりますので、そこからさらに地域生活に出て行かれる方もいます。小規模の作業所、就労支援事業所に参加して、そこでいろいろな仕事を覚えたり、コミュニケーションを覚えたり、時には厳しく注意されたり、時には『すごくがんばったね』というような評価をもらったり、そういうやり取りを通じて、仕事、就労に近づけていける面があると思います。」

●居住系サービス

「居住系のサービスとしては、先ほどのお話にも出ましたけれども、グループホーム、ケアホーム、お家がない方、家族をもう失ってしまっている方の場合は、新たな家族の代わりになる人間関係、そして安心して安全に暮らせる居住、住居ですね、それが必要になってきます。」

●自立を支援する医療

「訪問支援、訪問看護を利用して、1週間に1回、2週間に1回、あるいは当事者の方が心理的にピンチになっているときは1週間に3回とか平日毎日とか、お家に看護師さんに来ていただいて、そこで、健康面のことや症状のことなどいろいろなことを気楽に話して、解決策を一緒に考えて実行していく。悪くなってしまって、我慢に我慢を重ねて、気づいたときには病院のベッドに寝ているという状態を避けて、ちょっと困ったことがあったら、『じゃ、明日訪問看護師さんが来るから相談してみよう』と、そこで解決してしまう。小さいうちにストレスを摘んでしまうということができます。」

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