第6回日本統合失調症学会 市民公開講座(2011年11月3日)で上映
「我が家のトーシツ ライフ−家族の立場から」
第1部
●統合失調症とのつきあいについて

「漫画家の中村ユキです。本日は、スケジュールの都合で市民公開講座に伺うことができませんので、ビデオでメーセージを送りたいと思います。

私の母は、私が4歳の時、母が27歳の時に統合失調症を発症しました。今年で統合失調症とのつき合いは34年目になります。詳しい経過のほうは『JPOP-VOICE(統合失調症と向き合う』というサイトにインタビューでお話しておりますので、そちらを観ていただけるとうれしいなと思います。

私の母の統合失調症で出た症状は、陽性症状としては主に幻聴がすごくひどくて、『殺せ』とか『死ね』『殺してやる』『殺られる前に殺れ』というちょっと怖い内容の幻聴が多かったようです。『殺してやる』とか『死ね』という幻聴に対しては怖くなり、それからすごく辛くて(母は)よく自殺未遂をすることがありました。そして『殺られる前に殺れ』という幻聴から妄想的になって、私のことを怪物のように思い込んでしまう妄想があったので、少しずつひどくなってエスカレートして、私をやっつけようと包丁を持って襲いかかってくるようなことが起こるようになってきました。

* イラストはクリックすると拡大します
漫画 陽性症状…幻聴

そういう行動、症状が出て、私は10数年の間、すごく危険を感じた生活をしていたのですけども、今振り返ると、これは未治療の時の急性期症状、それからお薬を飲んでいなかったゆえに、そんな危険な症状につながってしまったのではなどと思っています。

他によくあったのは、“こんこん様”に乗り移られたような言動や、神様の使いになってしまうような一見すると霊に憑依(ひょうい)されたような言動が目立ちました。

漫画 陽性症状

陰性症状では、だるくて起きられない、疲れやすい、集中力が続かない、やる気が起きない、そういったことから何もしないで寝たきりになることが多かったです。そして判断力が低下して、何かいろいろな問題が起きた時にどうしていいか分からなくなったり、選ぶことができないので、料理などをすることが困難なことが多いようです。昔、お薬をたくさん飲んでいる時は、“感情鈍麻”と言われる、喜怒哀楽がすごく乏しくなってしまうということに、私も母も、人生に張り合いのなさというか生活の楽しみというものを奪われるような感覚で過ごしていました。

漫画 陰性症状

もう1つ薬の副作用として、のどの渇き、便秘、手足のムズムズ、そして感情の起伏がすごく(激しく)、1日のうちで急にイライラしたり悲しくなったりという波が出てしまうということもよくある、いまだに続いていることです。」

漫画 薬の副作用

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