統合失調症と向き合う

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野村忠良さん
野村 忠良さん
(のむら・ただよし)
1943年(昭和18年)生まれの66歳。「家族会 東京つくし会」の理事として活躍。母親が統合失調症となり、少年期から苦悩の日々を送ってきた。30歳のときに父親と一緒に家族会に入り、それ以降、30数年にわたり家族会の活動に真摯に取り組んできた。現在も精神科医療の社会的な位置づけ、支援の広がりを目指す活動を行っている。
家族構成:父、母(病気体験者)、姉2人、妹1人
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12早期介入の意味

「早期にというのは、遠回しに考えて、早期にやれば重症の患者さんが減ってくるということですよね。今は、302万人(精神障害者数:平成17年度厚生労働省)とか言ってるでしょ。その数が減るわけですよ。そうすると予算のかけ方がそこだけですむ訳ね、財政的な面で言えばね。だからそれは(数を)減らすということは重くなってしまった人にとっても大事なことですよ。予算獲得し続けていくためにもね。それが300万人が500万人になってごらんなさい、今の予算だって足りなくなるのにまた足りなくなるわけでしょ。それを防がなきゃいけない。まず精神障害が生まれる元を断ってね。でみんなが社会復帰する。と同時に重くなってしまった方は、早期支援というのは、再発のときに早期介入ですよね。それがとても大事なことだと思う。相談にすぐに行けてすぐに対応してもらえる。

それからもう1つ大事なことは、早期介入をやるとあらゆる手段を考えるでしょ。入院させたりとか、それを今、地域に暮らしている重い方にも使いたいということですよね。悪くなったらすぐに通院している機関で対応して、猶予をおかない。この考え方は絶対大事ですよ。だから早期支援で地域が獲得していた機能が重くなった方にもそのまま使えるんですよ。すぐに応用できるの、体制が整っていれば。あとは、問題は重くなった方への特別な配慮ね。これは僕はね、人権の問題ということに影響すると思うね。同じ人間として生きてきてね。早く治った方はいいですよ、普通の人と同じ生活ができる。だけど重くなった人はどうするんですかって、今のようにおうちにいなさいと、引きこもりでね、それはほんとうに人権を重んじていることになりますか、憲法の生活を保障されますかと、病気だからしょうがないだろって言えますかと、病気とか障害に対してお金がないからしょうがないよって言っていられる国であっていいんでしょうかと。やっぱり重くなっちゃった人でも、その人らしく健康で文化的な生活を普通の人と同じノーマライゼーションでやっていく資格、権利があるでしょと。これを僕たちはどうしても守らなくちゃいけないんですよね。早期支援も同じ発想ですね。人としての尊厳を守ろうよって。だからこれは串団子みたいにつながっている問題なんですよね、尊厳という棒に全部がつながっているんですよ。だから今、早期支援をやって、重い方は人権の尊重をやりましょう、その人たちが生きていくにはどうしたらいいかは別立てて、早期支援などとかみ合わせながら考えましょうというのが、今後のやっぱりありかたでしょうね。」

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