統合失調症と向き合う

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原田幾世さん
原田幾世さん
(はらだ いくよ)
1973年生まれの38歳(収録時)。31歳の時に入院治療を受ける。病名は統合失調感情障害。3回の入院を経験し、現在は、同じ精神障害をもつ夫、夫の母と3人で暮らしている。ピアサポートセンター(就労継続支援B型事業所)で生活支援員として勤務中。
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3退院後の生活について
Q.退院したあとはどのような生活を送りましたか

「退院をする際に、主治医のほうから、『区役所に行ってみるといいよ』ということを言われたので、区役所に行っていろいろ情報を知りました。その当時は作業所ですね、作業所を保健師さんと一緒に見学しに行って、作業所の通所と、あとは最初のうちは帰ってすぐ一人で生活するのが困難だったので、ヘルパーさんをお願いして、利用しながら生活を送っておりました。

収入は、傷病手当の収入と、あと実家から少し支援をしてもらって生活していました。自分でバイトができるようになるまでには、結構(時間が)かかったんですけど。傷病手当は1年半までもらえるんですよね。で、丸々1年半受け取って、自立できるまでは、ちょっと時間はかかりました。」

Q.原田さんが考える自立、仕事とは?

「(自立とは)自分の収入で生活できるまでということですね。

就職というか、ま、アルバイトをしたり…、それで親からの仕送りが少し減ったりとか。あとは、あれはちょうど1年半ぐらい前、2年近いですね。お仕事の話をいただきまして。それはお仕事というか研究の一環としてだったんですけれども、仙台にありますACT(Assertive Community Treatment包括的地域生活支援プログラム)の当事者が一緒に勤務してみてどういう結果が得られるかという研究があったんです。そこで週4回の勤務をして、そのあたりから自分の収入で生活ができるようになったんですね。」

ACT: Assertive Community Treatment包括的地域生活支援プログラム。「積極的地域治療」とも訳される。重度で長期の精神疾患をもつ人を対象とし、病院・診療所ではなく積極的に地域に出て、保健・医療・福祉が緊密に連携した治療・支援を、医師、看護師、ソーシャルワーカーなど多職種の専門職によって、生活の場に届けることを目標にした訪問型専門治療プログラムの1つ。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどで普及したあと、2003年から国内いくつかの地域で試行的に行われている。

Q.ピアサポートセンターで働くことになったきっかけは?

「私は、実は3回入院しているんです。1回目がさきほどお話した急性期の時の入院で、残り2回は安静のためというか、ちょっと休養を取るための入院を2回しているんですけれども、その3回目の入院の退院の間際ぐらいに“ピアヘルパー講座”という精神(障害)の当事者が主に受講するヘルパー講座の募集が、たまたま新聞に出ていたんですね。『こういうのがありますよ』というのを、うちの両親が見つけて、『もしよかったら受けてみないか』と。費用は出すし、退院後大変だろうから、妹が送迎するからということで…。

それで私は、まあ、自分でヘルパーさんを利用したことがあったので、自分がそれだけのことができるとは思ってはいなかったんですが、でも、せっかく両親も勧めてくれているしと思ってヘルパー講座を受講したんですね。その時に、途中から、『何か仕事おこしをしようと思っている』という話が出て、ヘルパーの資格を生かした仕事であったりとか、何か事業所を立ち上げようという話があったので、それはなかなか面白そうだなというのもあって、関心もありました。で、準備会というのを有志の人が集まって月1回スタートさせたんですね。みんなで集まって会議をしながら、『どういうふうにしていったらいいだろう』というのを話し合って、進めていって…。で、結局、形にするのがなかなか難しかったので、取りあえず、(就労継続支援)B型の施設から立ち上げようということになって…。

で、私は、その当時は一利用者として『ピアサポートセンター そら』に入ったんですね。一利用者として入ったんですが、その間にも、ヘルパー講座は、私たちの分を含めると計4回あって、ヘルパー講座のスタッフをさせていただいたり…。一応、おおもとが労協(労働者協同組合)、ワーカーズコープという団体ですけれども、組合員にもなって、会議に参加したり、そういうこともさせていただきました。そのうち、他からの仕事の話があったりとかで、1回『(ピアサポートセンター)そら』を離れたんですよね。で、さきほど言ったACTの研究が終わった時に、『もしよかったらうちで、今度はスタッフとして働かないか』という話をいただいて、フルタイムではなかったんですけれども、戻ってきたという形になりました。ちょうど1年半前ですね。」

Q.生活支援員の活動内容を教えてください

「今は、特にその支援をするとかっていうことではなく、普通にみんなと一緒に過ごしたりとか、何かあれば面談だったり相談だったりはしますが、とにかくみんなと楽しく過ごす。なんでしょう、私、支援という、あえて支援するという言葉があんまり好きではないので、みんなとわいわいやっているのが主な仕事かなというところです。

(利用者は)今は25人近くおります。就職というか、まあ、就職している方もいますし、就労の支援を行って、パートタイムで今働いてる利用者さんなどもいらっしゃいます。」

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