統合失調症と向き合う

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原田幸一さん
原田幸一さん
(はらだ こういち)
1974年生まれの36歳(収録時)。18歳ぐらいの時から「どう生きたらいいのだ」という悩みが強く、不眠などの症状が出ていた。23歳の時に精神科を受診するが、通院を中断。その後別の病院を受診し、入院治療を受ける。退院後は、デイケアや作業所などを利用しながらリカバリーでき、現在は、A型事業所に勤めながら、就職活動をしている。障害基礎年金2級を受給。同じ精神障害を持つ妻、実母との3人暮らし。
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5退院後の生活について
Q.退院後の通院は?

「(退院時は)24歳ですかね。入院していた時に、OT(作業療法)に行ったことがあるんですけども、そこですごく疲れてしまって、すぐ(病室に)戻ってきたということがあったんです。それがあったものですから、そっちのほうで回復させるために、その時はまだ試み的だったんですけども、1対1のOT(作業療法)をやろうということになって、それを受けましたね、まず。病院に薬をもらいに行く時に、一緒にOT(作業療法)も受けるという形でやっていきましたね。結構1年ぐらいはやりましたかね。

最初は、パズルとかそういうものが多かったので、結構辛かったですね。組み立てていくのが、やっぱり病気の症状でうまくできないので、それを組み立てていくのがすごく疲れて仕方なかったんですけど、でも、できたんですよね。 いや、スムーズにはできるようにはなりませんでしたね。やはり、まだできないっていうか…、普通に楽しんではできませんでしたね。

でも、その中で良かったのが、僕はクラシックが好きなものですから、毎回、クラシックのCDを持って行って、それを聞きながら、その曲の薀蓄(うんちく)を作業療法士の方に話しながら、作業をしていたものですから、それがすごく良かった点ですね。クラシックは、すごく重要な役目を果たしてくれて、自分の病気になる前の感覚と、その時のまだ混乱している状況の自分の中で、唯一、現実感の持てるものだったんですよ。それのお陰で、うまく行くというかだんだん良くなっていくということはありましたね。入院している時も聴いていましたし、そうですね。」

Q.OT(作業療法)の他に受けた治療は?

「1年経って、くっきりすぐにOT(作業療法)から卒業ということではなく、かぶさっていたんですけども、デイケアのほうにしだいに移行していったんですね。

デイケアでは、最初は、まだ回復が十分ではなかったので、ぼうっとした感じだったんですけども、何か月か経ってから、ほんとにみるみる良くなって、いろんなことが楽しめるようになりましたね。あと、その当時良かったのが、デイケアにいるメンバーさんですね。やっぱり受け入れてくれるという気持ちがすごく多かったので、自分にとって、『ああ、ここにいてもいいんだな』というふうに思えたことが、すごく良かったですね。

デイケアは結構長くいましたね。5年、6年ぐらいはいたと思いますね。6年いて、1回やめて、ちょっと進学しようかなって思った時もあって、その時1年ぐらい予備校に通って勉強したこともあったんですけども、ちょっと自分の方向とはまた違うかなと思ってやめて、もう1回、デイケアに1年間お世話になったあとに、その頃作業所と呼ばれていた場所に、31歳の時に通い始めましたね。

作業所は、結局、上の人とちょっと相性が合わなくて、ほんと1か月も経たないうちにやめましたね。で、その時に、今の奥さんと知り合ったんですけど。

そのあとは、僕はだいたい家にいることが多かったですね。家で、何もしないというか、これから先どうしていこうかというふうに悩んでいた時期ですね。まあ、何もしないでいるわけにもいかないので、取りあえず障害の能力開発校のパソコンを教えてくれる所に行ったりとか、ヘルパー講座を受けたりとかはしていたんですけども。」

Q.自分の病気が統合失調症と分かったのは?

「先生からというより、外来に行った時に、僕から、『僕の病気はなんていう名前なんですか』と聞いた時に、当時、統合失調症ではなくて、『精神分裂病です』というふうに言われて、『あ、そうですか』という感じでした。

その時は全然驚かなかったですね。僕は、入院する前に僕自身もそれだろうと思っていたので。調べてというか、ある程度知っていたので、たぶん、そうだろうなというふうに思っていたんですね。でも、周りは分からなかったみたいですけどね。僕だけ分かっていて…。

(家族は)そんなに、ショックは受けていなかったですよね。『退院してきただけでも、良かった良かった』という感じのほうが強かったですね。やっぱり最初治るか治らないか分からなかったみたいで、それがすごく気がかりだったみたいで、ちゃんと回復して戻ってきたので、病名がどうとかこうとかというよりは、取りあえず病状が良くなったということで、すごく喜んでくれましたね。」

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