統合失調症と向き合う

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津田敏正さん
津田敏正さん
(つだ としまさ)
1979年生まれ、33歳(収録時)。23歳のときに発症し精神科を受診。子どもの頃から建築・不動産業に関心があり、29歳で宅建(宅地建物取引業者)の資格を取得。現在は、特例子会社で働いている。1人暮らし。障害者手帳3級。
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2精神科受診の経緯
Q.精神科を受診しようと思った時、どのような症状が出たのでしょうか

「私は、1度学生寮で1人暮らしをしたことがありまして。それは、当時“パラサイトシングル”という言葉が流行っていた時期なのですけれども、その本を読んで、『これではいけない』と思って、専門学校に入った時に、自宅から十分通える距離にもかかわらず、わざわざ遠い学生寮に入って、そこで、幻聴とか幻覚みたいなものを感じました。それで、1年で退寮せざるを得ない状況がありまして、受診をしました。

寮の部屋に建築業者の方がずかずか入ってきて、いろんなところをいじり回す幻覚が見えました。幻聴も含めて幻覚なのですが、ガタガタガタガタとすごい音がするという感じでしたね。

最初に兆候として出たのは23歳の夏ぐらい、8月か9月ぐらいだったと思います。部屋に帰るのが怖くなって、初めて1人暮らしをしたということもあって、部屋に帰りたくなくて、結構夜明かしをしてそのまま学校に行ったりとか、パチンコ屋に入り浸ったり、公園で寝たり…、そういうことをしたこともありましたね。」

Q.精神科受診は誰かに勧められたのですか

「私が精神障害というものを知ったのが、ある女性との出逢いだったんです。年賀状のアルバイトを22歳の冬にしまして、あ、23歳でした。大学を卒業して、新卒入社の就職が半年ぐらいでダメになってしまったので、つなぎみたいな形でアルバイトをしたんですね。そこで出会った人を好きになりまして…。

どうやって告白しようかと思っていて、アルバイトの最終日に告白をしたら、『私は精神障害者だから、あなたとは付き合えない』という返事を受け、驚いたわけですよ。当時、2003年の始めだったので、池田小学校事件(の記憶)が、まだ日が浅い頃、1年ぐらいだったのかな? マスコミの情報で、やたら精神病だったとかいろいろ出ていたわけじゃないですか。そういうことがあったので、その人と(自分の)前にいる人が同類なの?という、驚きというか恐れというか…。でもその時も自分は、病気とかそういうものは全然意識はしていなかったんですけれども、まだ。

でも、『この絆を断ち切っては絶対にいけないんだ』と、天の声なのかな、そういうのがあって、『じゃあ、友達でいいから、君のことをもうちょっと知りたいんだ』というふうに言ったら、メールとか電話番号を教えてくれて交換できて、離れたわけですけれども…。もうアルバイトが終わったら、ある意味それっきりじゃないですか?

そういう状況になった(症状が出た)時に、彼女のことを思い出して、『こういう症状があるんだけど』というふうに、かなり切迫したものをメールとか電話で送ったら、『あなたは病院に行ったほうがいい』とか(言われました)。で、ちょうどその頃に、地域活動支援センターが近所に開設されて、彼女はすぐそこに通所し始めて(いましたので)、『そこで話しましょう』とか、『他の人にも相談して』みたいな話はされたという感じでしたね。」

地域活動支援センター:地域で生活していくうえで生じる問題、相談などに対応する機関。ほかの機関とも連携しており、社会資源(福祉サービス)の紹介や住宅、職業、生活支援サービスなどの情報が得られる。障害者自立支援法に基づき2006年10月から制度化された。
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