統合失調症と向き合う

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Y.F.さん
Y.F.さん
1945年(昭和20年)生まれ、69歳(収録時)。2週間に1度通院している。両親亡きあとは一人暮らしをしており、現在は、病院の売店の仕事やピアサポート活動、当事者の会を運営するなど、充実した毎日を送っている。短期間であるが禅宗のお寺で修行した経験があり、現在のこころの支えとなっている。
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3退院、復学、就職について
Q.入院期間は?

「(入院期間は)最初は6か月です。それで復学しました。その時、復学できるかどうか、もう不安でした。入院中やしね。…1回、1週間に1ぺんしか、(病院の)表(に)出してくれなかったです。収容主義の時代でしたから。ほんでグランド出ても表の扉(の)鍵しめて、中でみんな、ウロウロしてましたね。」

Q.退院後は復学できましたか

「やっぱり、卒業しましたけどね、卒論を書くのが英文を訳すんやけど、それが分からんかったです。すぐ辞典を見て辞典の単語をぎょうさん書いて出したというか。ゼミ旅行にも行かずに…、僕は行かんかったです。淋しかったです。そやけどなんとか卒業させてもらって、嬉しいです。」

Q.大学を卒業したあとはどうされましたか

「就職は、スーパーです。1年半ぐらい勤めました。その時に、厚生年金なんかを登録してもろうたんです。その前、発病した時に登録してなくて、結局、学生無年金になりました。」

Q.就職後、入院は?

「2回目の(入院)時は、家におって『寝られへん』と言うたら家族がものすごく過激な反応をして、『これはあかん、すぐ入院や』と言うて、入院させられました。それで、先生もこれは家族が過激な反応をしているからと、3か月で退院できました。昔(は)3か月はほんまに短かったです。

それですぐ退院して。そのうち、ちょっと画廊に勤めたことがあった。画廊に勤めて1か月運転手をやっていました。そのうちゴルフ場(に)勤めたんです。27(歳)の時かな。勤めて、(その)あとお寺に行きました。また居場所が違う場所やからやっぱりおかしくなって発病して、それで3回目の入院です。

3回目の入院から今度退院したら…、あまり憶えていないけど、お好み焼きか米屋に2、3か月ぐらいずついってきました。それから友だちが亡くなって、『淋しいな』いうんで、病院に淋しいから旅行がてらに入院させてくれというたら、『ほんならどうぞ。2週間でいいからご逗留ください』いうてね、2週間、病院に入りました。その時が4回目かな。2週間の逗留が2年4か月になって、その時に先生と喧嘩したり、いろいろありました。

それからのち33、34歳の時かな、家に閉じこもりですわ、今度は。その入院中に施設病みたいになって…。施設病というてね、やっぱり、考えてるもんやからね、仲間もこんな手足の、なんかサインしているように感じたんです。それをなんとか解こうと思うて、一生懸命考えました。10年ぐらい考えました。10年、30代の時、考えて…。ほんで姉さんから、『働きざかりの時にそんなん考えんと働け』と言われましたけど、これは分からないと社会生活ができんと思うて…。こんなポーズですね、そんなのがあると思っていたんです。なんかサイン(と)いうか…。それがお袋に聞いても『そんなんない』と言うんですね。

そんでもう僕は分からんしね。40(歳)ぐらいになってから作業所に行きましたね。分からないなりに、もうダメやと思って。1年ぐらい勤めたかな。40代でそれを辞めて、今度は掃除屋(に)行きました。近所の掃除屋(に)行って1年半ほど勤めて、そこを辞めて、今度は大手の掃除会社に行って、そこも1年半ほどやって…。

そのうち兄貴のところで働き出して、そしてまた発病ですわ。兄貴のところが合わなかったかもしらんが。発病して、今度、5回目の入院ですわ。その5回目の入院の時に、お袋が亡くなって、(僕が)入院中に亡くなって、それで兄貴(が)『帰ってこい』と言うのでタクシーで、タクシー代をもらっていたからそれで帰って、死に目には会いました。それが、僕が48(歳)ぐらいの時かな。

お袋が死んだあと、高槻に住むようになって、それで1年後に親父が死んだんです。親父が死んでから、もう一人ぼっちや言うんで…、きょうだいはおったけど。きょうだい4人、今でも元気です。

一人暮らしになって初めて反省しました。『なんでこんな病気になったか』と。なんで(か)原因を探求せなあかんと思うて、発病前の時を考えました。それで原因を考えたら、逃げ回ったり嘘ついたり、不良仲間とつきおうていたり、そんなことをやっていたから、それが原因やろう(と)分かって、50代の時に初めて、嘘(を)つかないとか、逃げないとか、ばかにしないとか、そんなことを考えました。」

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