統合失調症と向き合う

体験者の声 医療者・支援者の声 家族の声 私たちの活動紹介 イベント おしらせ
石山勲さん
石山 勲さん
(いしやま いさお)
1958年(昭和33年)生まれ、56歳(収録時)。システムエンジニアとして働いていた29歳の時に症状が出て、内科を受診し、その後、精神科を受診する。会社は退職。物を書くことが好きで、保護室に入院した時の体験を記した本を発行。現在は、精神科医療施設の研究の手伝いや当事者として講演活動に携わっている。当事者自助グループも運営中。母親と同居。第2回精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)を受賞。著書に、『幽閉』(萌文社)『精神保健・医療・福祉の正しい理解のために』(萌文社など)がある。
movieImage
<< 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  >>
9病気の認識について
Q.統合失調症という病名は主治医から言われたのでしょうか

「いや、先生には言われていないです。たまたま保険に入っていたので、診断書を書いてもらった時に、その当時は、精神分裂病ですよね、今の統合失調症と書いてあったので、『あ、僕は統合失調症なんだ』ということが分かったわけです。」

Q.統合失調症と知った時はどのように思われましたか

「ま、鉄格子ですよね、どうしても精神病のイメージって。あと個室が、刑務所の独居房。で、今はないと思うのですが、僕らのトイレというのは、そこで食事とか、睡眠とかとらなければいけないのです。入院した時は冬だったので、悪臭とかはなかったのですけれど、もし入院が夏だったら、食事をとる時に、汚物の臭いの中で食べなければいけないだろうと。

そういう時代の状況だったのですね。今はそういうところは少ないと思うのですが。

制度もありますけれども、制度というのは費用面が多いですよね。あとは先生の人柄だと思うのです、やはり。だから、いい先生に当たれば、予後もいいのではないかなぁと。ただ、相性の悪い先生も中にはいて、その時はやむを得ないので、『すいません、この曜日は通えなくなりました』と言って、自分の合いそうだなという先生の曜日に日にちを変更して通院していました。

(先生との相性は)やはり大きいですね。要は、先生が良ければ、なぜここにいなければいけないのかとか、ちゃんと説明がありますからね。ただここに放り込まれて説明もなかったら、それは本人としては不本意な入院になったと思いますね。」

Q.認知機能リハビリテーションをどのように思われますか

「必要な人がやればいいのではないかなぁと思うのですけど。僕の場合はロールプレイさえしなくても、ここまで来れたので……。

だから逆に、研修の講師で行った時に、ロールプレイを初めてやったという感じで、職員の方にロールプレイの仕方を教わりました。患者さん役をやったり、PSW(精神保健福祉士)役をやったりして研修が進んでいくと。

ただ、研修というのは、自分のトレーニングにもなりましたよね。『あ、ロールプレイってこんなことなんだ』みたいな。だから自分の治療上のロールプレイではなくて、仕事先でロールプレイを覚えましたけど。

やはり必要なのだなあと。ただ、僕の治療上では必要ないなということで。まあ、考え方でしょうね。僕の起点というのは、主治医が、『あなたは薬を飲んで安定した生活を送るか、薬を飲まないで不安定な生活をしますか、どっちがいいですか?』と聞かれて、僕の判断で、それからどんどん病気が良くなっていった。だから、その先生の一言で、僕は良くなってきたのではないかなと思います。

やはり先生のカウンセリング術を盗んでしまったということですかね。こう言えば、こう言うだろうと答えを予測できるようになったので。先生のカウンセリングが良かったので、友達に、こうした時にはどうしたらいいと思ったら、『こうは考えられない?』というようなアドバイスができるようになった。」

Q.病気を認識することは症状に影響するものですか

「だからそれが病気の受容ですよね。それは苦しいですよ。あれは病気だったんだということを認めなければいけないわけですからね。

でも、今どうかと考えれば、今はもう落ち着いているわけですよね。だったら『これでいいじゃない』というのと、先ほど言った、この薬を飲んで安定した生活が送れているほうがいいだろうと。だから服薬して、副作用の強い時もありましたけども、我慢して飲んでいたのは正解だったなと思いますね。」

<< 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  >>