統合失調症と向き合う

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石山勲さん
石山 勲さん
(いしやま いさお)
1958年(昭和33年)生まれ、56歳(収録時)。システムエンジニアとして働いていた29歳の時に症状が出て、内科を受診し、その後、精神科を受診する。会社は退職。物を書くことが好きで、保護室に入院した時の体験を記した本を発行。現在は、精神科医療施設の研究の手伝いや当事者として講演活動に携わっている。当事者自助グループも運営中。母親と同居。第2回精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)を受賞。著書に、『幽閉』(萌文社)『精神保健・医療・福祉の正しい理解のために』(萌文社など)がある。
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10いちばん辛かった時
Q.今まででいちばん辛かったのはいつですか

「最初の入院の時の、保護室の状態ですね。『ここは、治療を行う場ではない』と。

今は2つ目なので。最初の病院のところがひどかったのですよ。今は変わったらしいですけどね。僕は古い病院しか知らないので、(精神科病院は)1回しか入院していないから。ただ、友達の話からすると、ずいぶん良くなったよという話は聞きますね。」

Q.心の支えとなったものはありますか

「僕自身が、もともと精神疾患には一般の程度ぐらい偏見がありました。ただ、実際に自分が病気になってみて、そんなにひどくはないよというふうに思い始めて……。

あと自分のことでもありますし、少しでも精神疾患が理解できるようになればいいなということから、まず本を書いて。で、本ができたら、本が流通するようになって、今それに通じて講演活動をやって、家族の人や医療関係者の人などにもお話をさせてもらって、みんなに理解してもらうということが、やっていること。(そして)今後もやりたいことですね。」

Q.今の楽しみは何ですか

「今は家でボーっとしているより、講演をやっていたほうがいいですね。やりがいがあります。やって良かったよということで、だいたいリピーターが増えて、1回行ったらまた来てくださいと言われて。財政上の理由でダメになったところもあるのですけども、それ以外は毎回呼ばれています。だからそれでも自信になりますよね。」

Q.作家になりたかったのでしょうか

「公認会計士になろうと思って、税理士か……。自営にしながら、小説を書こうと思っていたのですよ。本が好きでしたからね。二十歳ぐらいの時に。

で、山田太一という人の作品が好きで、その人みたいなものができたらいいなと。それは、その人は、特別変わったことを書かないのですよね。日常的なものから何か発見をして、それをみんなに伝えていって共感させてしまうという力があるので、『あ、僕もそんな本ができたらいいな』と。だから、『幽閉』の帯なのですけども、山田先生から一筆もらって入っているのですよ。だから、それは(僕の)宝ですよね。」

Q.著書をご紹介ください

著書:幽閉「『幽閉』のほうは、精神科閉鎖病棟で、ほんの短い期間だったのですが、もう、これを出さなければ入院の意味がないみたいな感じの本です。内容的には、施設のことと、幻聴はこんなふうに聞こえるということを具体的に書いてあるので、精神科医が読んでも、そんなものかなと分かってもらえる本だと思います。

こちら(『精神保健・医療・福祉の正しい理解のために』)のほうは、自分の入院体験を含めて、社会福祉制度や友達づくりなど、こんな感じで当事者同士接してほしいということを説明している本で、主にこちらのほうを中心にして講演活動をやっております。」

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