●医療で困ったこと

「医療で困ったことに関してですが、ずっと(医療者からの)言いなりの治療を受けてきて、それは病気の知識のない中でどんな質問をしたらいいのか分からなかったというのもあるのですけれども、初めは戸惑うばかりでしたので、専門家から『こんな治療があるけどどうしますか』というような積極的な提案がほしかったなと思っています。

安定しているからずっと同じ治療とか処方というわけではなく、生活の質を改善する、向上させるために減薬の調整とか変薬(薬を変える)の調整といったような積極的な治療の提案をお医者様から受けたかったなあと思っています。

精神疾患というのはすごく個人差の激しい病気でもありますので、みんな同じというようなマニュアル治療ではなくて、臨機応変な対応、一人1人にカスタマイズされたような治療が受けたいなと思っています。

今は、やっぱりニーズに合っていないサービスだと言われているように、病識がない特徴のある統合失調症の場合も、本人が受診しないと診てくれないというような、治療になかなかつながりにくいような対応になってしまっているので、訪問して診てもらえるとか、(受診を)説得してくれるような第三者の介入があるとか、そういったサービスもこれから出てくるとうれしいなあと思います。

家族関係が良好であるのは、統合失調症の再発防止や回復に向かう中でとても必要になってきます。私は、これまでの経験の中で、お医者様から、『この病気をよく勉強しないと、家族も一緒に治療に取り組んでいかないと回復できないよ』と教えてもらったことが1回もなかったので、できれば他の病気と違って家族の助けがすごく必要な病気だということを、医療の人には教えてほしかったなと思います。

入院環境に関しては、投薬という意味だけでなく、穏やかに暮らせることがとても回復に必要なので、心のケアを重視していただきたいなと思います。

精神科病院の入院形態というのは入院してみないとなかなか分からないというところがあり、情報不足だなと思うので、できればどんな病院なのかを私たち患者や家族がよく知ることができるような開示がもっとされるといいなと思います。」

 ⇐●家族として困った(困っている)こと●福祉で困ったこと⇒