がんと向き合う

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藤井文雄 さん
(ふじい・ふみお)
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香川県出身。59歳(1999年)のとき会社の人間ドックで直腸がん(前がん状態)が見つかる。開腹手術を受け、ストーマを造設。3年後、原発性の前立腺がん(ステージT3a)が見つかり、ホルモン治療後、粒子線治療を受ける。現在は副作用を経過観察。2001年より日本オストミー協会兵庫県支部幹事、ピアサポーターとしてオストメイトの相談にのる。趣味は四国などの山歩きと読書(好きな吉村昭、司馬遼太郎はすべて読了)。
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8またたび酒

「香川県の田舎に帰って讃岐山脈のふもとに行ったときに、薬草を趣味にしている同級生と一緒に、ふもとの谷川へ“またたびの実”を拾いに行ったんです。それを持って帰って漬けたのが始まりなんですね

それからはまた拾いに行ったり、道の駅で買って来て漬けているんですけど、それを飲みだすと、今まで体がだるいとか疲れたというのが、あくる日疲れをあんまり感じない。たとえばお酒を飲んで酔って帰るとき、駅の階段を上がるのがすごくだるいとか、そういうのがなくなりました。これはまたたび酒を飲んでいるせいかなと思っています。

昔から腺病質な体質なので養命酒を飲んでいるんですけども、付属のカップ(30mL)に養命酒(20mL弱)とまたたび酒(10mL強)を入れて、寝る前に飲んでいます(その後で水を60mLくらい飲みます)。健康のために摂っているのは唯一それぐらいです。それでだいぶ体の疲れをあまり感じないんじゃないかなと思います。」

●木天蓼(もくてんりょう)

「またたびの実は普通マメみたいに細長いんですけども、アブラムシの一種の虫に食われると、またたびが自分の作用でそれから身を守ろうとするように形状がかぼちゃみたいに丸くなってくるんです。それのほうが養分があるみたいで、ある時期になったら落ちるから、それを拾ってきて漬けるということです。正常なまたたびではなしに、木天蓼(もくてんりょう)という虫食いのまたたびがすごくいいらしく、それを干したものを砕いて漢方薬にしたり、焼酎に漬けたりして使うんです。

またたびを梅酒みたいに漬けて、その瓶を小さい入れ物に分けているときに、猫はもう寄ってきますね。匂いをかぎまくります。人にはわからない匂いだと思いますけど。またたびを漬ける前に、いろいろごみを取っていると、猫がニャオニャオ寄ってきますから面白いですよ。ですから『猫にまたたび』と言うのは本当なんですね。

だいたい9月のはじめごろに実ができるから、その頃だけですね。それを農家の年寄りの人が拾ってきて、道の駅の店へ置いておくというような格好です。」

* * *

※ 藤井さんのまたたび酒の作り方 
(1) またたびの実(木天寥)500〜800gを洗って、布巾で水気をとり、広いざるに並べて半日〜1日陰干しします。ところどころ傷んで黒くなっている部分は、そのまま漬けると和紙で濾しても取れない濁りが出るので、あらかじめ包丁の角で取っておきます。
(2) (1)のまたたびを瓶に入れ、ホワイトリカー1.8L、氷砂糖30〜50g、はちみつを適当に入れます。
(3) 約3ヵ月後には飲めます(1回量15mLまで)。1年以上たつと成分が完全に出て、味がより馴染んで丸みをおびてきます。