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岩瀬 哲さん
岩瀬 哲さん
(いわせ・さとる)
東京大学医学部附属病院 緩和ケア診療部 副部長
1994年埼玉医科大学卒業。東京大学医学部附属病院放射線科を経て、がん診療では外科手術・放射線療法・薬物療法・緩和ケアの専門家が協力して治療にあたる集学的治療が重要と考え、その普及に努める。
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5医療用麻薬に対する誤解

「麻薬というのはどうしてもイメージが悪いのですが、医療用の麻薬を正しく使うというのはとても安全なことで、それはむしろ積極的に使ったほうがいいという認識をもっていただきたいのです。そのためにはわれわれも具体的にその安全性や有効性について訴えていかなければいけませんので、共同作業ということになると思います。ですから、(一方的に)信じろとだけは言いたくないとは思っていますが、情報をよく知っていただいて、麻薬が身体に悪いものだということは誤解以外の何物でもないので、そういう認識をもっていただきたいと思います。」

Q. 医療用麻薬は本当に寿命を縮めるのか

「まず寿命に関しては(医療用麻薬を使用して)短くなったというデータはもちろんありませんし、逆に、疼痛コントロールがうまくいったグループのほうが、うまくいかなかったグループよりも、生存率がよいということを示唆するデータもあるぐらいで、寿命を短くするということは否定できると思います。それから(薬物)依存に関しては、正しく麻薬を使用する限りでは、そういったことにはならないということも言い切れると思います。」

Q. 医療用麻薬が安全だという根拠

「麻薬が安全だと言えるその根拠は、麻薬というのは非常に古くからわれわれ人類が認知していた薬のひとつですから、非常に長い時を経て研究がなされていて、どんな副作用があってどんな効果があるかということが、他の薬と比べものにならないぐらい分かっているのです。それはイコール安全に使えるということになりますから、麻薬という悪いイメージだけが先行してしまって誤解されているのですが、実際は、効果、副作用というのがこんなに分かってる薬はない。正しい使い方をすれば、専門家の管理のもとで使用すればこんなに安全な薬は逆にないと言える薬だと思います。」