統合失調症と向き合う

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榎田伸也さん
榎田伸也さん
(えのきだ・しんや)
35歳、男性。22歳のときに発病し、2000年、26歳のときから2年間、入院を体験する。現在は2週間に1回通院。地域活動支援センター「ふらっと」を活用しながら、詩の創作他さまざまな活動に意欲的に取り組んでいる。両親、妹との4人家族。
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4入院前:症状緩和のために行ったこと①
●自律訓練法

「主に(入院)前です。興奮状態、うつ状態、強迫性障害、幻聴、被害妄想といういろんな症状が出たんですが、頭の中だけで解決しようとしても、まったく埒(らち)が明かないということに気づいたんですね。いくら心理学とかいろんな本を読んでも限界がある。壁にぶち当たったわけです。そこで頭じゃなくて、体から入ってみようということを試みたんです。そこで出会ったのが、自律訓練法ですね。

当時通っていたあるカウンセリングルームで知ったんですね。そのカウンセラーの先生に、『自律訓練法を、家でやったほうがいいですよ』と勧められまして、本屋さんで、CDつきのブックを買って、それから家で毎日、実践していった。最初のうちは、体がもうガチガチに緊張していて、なかなかリラックスした状態に入れなかったんですけど、何回も何回もやっていくうちに、徐々に馴染んできて…。実は、今朝も自律訓練法を久しぶりにやったんですけど、3分経たないうちに寝てしまいましてね。」

●入院前:症状緩和のために行ったこと②
 腹式呼吸、ヨガ、ストレッチ

「うつ状態などのときは、ほんと体がガチガチに固まっているんですね。僕は、特にちっちゃい頃から凝り性で肩とか首筋とかよく凝るので、そういうときに限って、考えがガチっと固まってしまう。そしたら思考が前向きにならない。そのときに頭でいくら解決しようとしても埒(らち)が明かない。となると、もう体をほぐすのが一番だということに気づいたんですね。腹式呼吸とか息を深く吸って吐くとかヨガとかストレッチで、体をとにかくほぐす。それによって体が軽くなるとともに気持ちもいくらか和らいでいったような感じがします。」

●入院前:症状緩和のために行ったこと③
 話を聞いてもらう

「とは言え、その当時は専門家にとにかく話を聞いて欲しい、自分のことをいろいろしゃべって聞いて欲しいという思いが強かったものですから、インターネットはもちろんなかったので、タウンページを開いて、カウンセリング先を1軒1軒見つけて、電話をかけて初診はいくらだとか、料金はいくらだ、内容はどうですか、と全部逐一聞いて、1軒1軒母親と一緒に回って行ったのを覚えていますね。それぐらい必死だったということですね。」

●入院前:症状緩和のために行ったこと④
 読書、音楽

「あと、これはいいなと感じ入った本を片っ端から読みました。それも難しい本じゃなくて、よく女性向きに書かれているライトエッセイってありますね。ああいう、わかりやすいけども非常に頭に残りやすい、人生に関するライトエッセイをよく読んで、それを頭にインプットしようと頑張っていました。

あと、これも先ほど言ったことと似ているんですが、そのときどきに流行った音楽、幼稚園の頃、小学校、中学校、高校、大学の頃に流行った音楽を聴くんですよ。不思議なもので、映像もそうですけど、音楽を聴くとその当時がパッと甦(よみがえ)るんですね。そのときどういう気持ちでいたかとか、自分はどういう環境にいたのかとか、親がこういうことをしてくれた、家族がこういうことをしてくれたということが思い浮かぶ。それを何回も何回も聴くことで、心を洗い流すというか、涙を流したりしながら楽になっていったなと思います。そうなると、ほんと素直な子供の頃の気持ちが出てくるんですね。」

●入院前:症状緩和のために行ったこと⑤
 祈り続ける

「これは大事なことなのですが、いつか必ず道は開けるんだと信じ切っていたことなんですよ。私の場合は、特定の宗教などに入信したことはありませんが、とにかく必死で無我夢中でしたので、お経を唱えたり写経をしたり、ひたすら祈り続けていました。で、どんなに辛くても、いつかはきっといい日が来るんだと信じようとして努力をしていたのを覚えています。

母親がやっぱり一生懸命。父親はどちらかというと、関心があんまり強くなかったので、母親が私のことをとても心配してくれて。なんて言うか、ま、信じるということですね。必ずいつか良くなるんだって、やっぱ信じる心ですね。そういう心を持つということ自体がとても大事だということを、教わったような気がします。ただ、その当時は、私自身、もう余裕がない状態だったので、右から左ですね。親がいくらいいことを言っても、聞く耳持たずで、もう暴れたりしていたので…。今思ったら、やっぱり信じ続けて今があるんだなと、つくづく思います。」

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