統合失調症と向き合う

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山﨑勝弘さん
山﨑 勝弘さん
(やまざき かつひろ)
40代(収録時)。高校生2年生の時に女性関係で不眠となり、内科を受診する。高校卒業後、自衛隊に入隊するが、症状が悪化し、精神科を受診。自分の病気が統合失調症と分かったのは22歳の時。その後、自衛隊を退職していろいろな職業に就くが長く続かず、現在は障害者の権利を守る活動に参画したり、東京都の精神保健福祉士の初任者研修で講師をしたり、研究施設で研究の手伝いなどをしている。同じ病を持つ妻と二人暮らし。結婚を機に生活保護からの脱却を目指している。
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10メッセージ
Q.同じ病の方へメッセージをお願いします

「やはり人生を否定的に考えるのではなくて肯定的に考えて、統合失調症になったとしても、諦めるのではなくて、なんていうのかどこかで切り替えて。野球でたとえると先発ピッチャーではなくて、中継ぎ・抑え、自分の役割分担のできるところを探すのが第一ではないかなと思います。」

Q.ご家族へのメッセージをお願いします

「よく家族会に出席するのですけど、親亡きあとのことを考えるのではなくて、今親が何をすべきか、親が生きている時に何かをしなければいけないということを考えてもらいたい。例えば、『可愛い子には旅をさせろ』ではないですけど、生活保護でもなんでもいいのですけど、アパートで暮らして、世帯分離して、親離れ・子離れができたほうが、親も楽になるし、子も楽になる。で、たまに子どもからSOSが出た時には、すぐ助けに行かれるような、そういう関係がいいのではないかと思います。

家族が抱えこんでしまうと、家族も当事者なので、家族支援も必要なのですよね。だから家族支援のあり方も、これから当事者支援と家族支援の両面を行政なりがやらないとダメですね、やはり。家族も病んでいますからね。」

Q.家族から離れても生活できますか

「家族から離れても(生活)できる。私も(初めは)できなかったですけど、やはりできるようになりますよね。

やはり地域の社会資源を有効利用して、障害特性における合理的配慮ができる人が近くにいれば、自立はできますね。親が抱えこむ問題ではないと思います。」

Q.障害者をどのような視点で見ると良いのでしょうか

「医学モデルからの脱却ですよね。それが必要だと思います。医学モデルであると、医療中心のモデルで考えてしまうので、やはり社会モデル。精神障害であれば脳の伝達物質の異常で障害だというふうな治療をするのですけども、社会モデルというのは、地域の障壁を取り除けば精神障害者も普通に生活ができるということですよね。だから医学モデルから社会モデルへのチェンジというか……、そういうことですよね。アメリカではマディソンモデルと言いますよね。それがやはり日本にも必要だと思います。

イタリアのトリエステというところは、もう精神(科)病院がなくなっていますから。でも、病院を全部潰せということではなく、やはり必要に応じてあってもいいですけど、今は、病床転換型居住施設という問題もありますので、そういうところをやはり精神科の経営者の方も努力して、病床転換型居住施設ではなくて、精神障害者を地域で支えるシステムを作ることが必要ではないかと思います。」

マディソンモデル:米国ウィスコンシン州マディソン市の精神保健地域ケアシステム。中心となる概念は当事者のリカバリー。
病床転換型居住施設:精神科病院の病棟を無くして院内にグループホームなどの居住施設に転換すること。

Q.今回、インタビューにご協力くださった理由を教えてください

「こんな私が何かにお役に立てればと思ったのと、自分の経験を聞いてくれたみなさんが、何かのきっかけで自立へ向かっていければいいかなと思って、今回出ました。

やはり……みんな偏見とか差別とか言っているけど、もっと自信を持って、当事者が主人公である、だから、私達のことを私達抜きで決めないで。それですよね。」

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