●家族支援でほしいもの

「やっぱり真夜中に突然具合が悪くなったり不安になって自傷行為になってしまうような方もいらっしゃるので、困った時は24時間いつでも相談に乗ってもらえるサービスも充実してほしいなあと思います。

最近よく“ニーズに合ったサービス”と言われますけれども、どうしても引きこもりになったり、自分から(病院に)行くことができないという方も多いように思うので、もしこちらから行けない場合は、出向いてもらえるような訪問のサービスがもっと充実してくれるとうれしいなあと思います。

移送制度などがあっても、それが形骸化してなかなか利用されていないということもあるので、訪問治療も含めて、障害のニーズに合った制度に変わるとうれしいなと思います。

私の母などは被害妄想がすごく多いのですけれども、もし仮に『お隣さんから悪口が聞こえる』などと言って、お隣さんに飛びこんでしまったり怒鳴りこんでしまった時にお隣さんはすごく不安に思うことが多いと思うのです。そうなった場合、ご近所関係という意味で、家族だけで対応することが難しくなってくる場合もあります。そういう時に間に入って、第3者として問題解決に力を貸してくださるクレーム介入サービスみたいなものがあると、みんなが安心して生活できるのではないかと、私はすごく期待しています。

私の場合は、母が発症して、父がしっかりしてくれていれば、私(には)、問題はなかったのですけれども、父がネグレクト(子どもや病人の世話を放棄すること)で家庭を顧みなかったので、どうしても子どもだけで(母を)支えるという形になってしまいました。不安な時にアドバイスをくれたり相談に乗ってくれる大人がいたら良かったなあと思うので、例えば、精神科医が自分の持っている患者さんの家族、例えば子どもがどうなっているのかを知っていただいて、もし支援が必要だと思った時に、(支援に)つなげてくださるというような状況になると助かるのではないかなどと思っています。それは精神障害者の方が子どもを育てる能力がないとかそういう考え方ではなく、『いかに家族として機能させていくか』といったような支援体制だと、私も子どもとしてはうれしいなと思います。」

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