統合失調症と向き合う

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コラム「なぞを追う」夏苅郁子さん 「故郷を離れる相(前編)」

占いは、統計学

占いは占い師の勘だと思う人が多いが、実は「勘 10%、統計学 90%」である。勘という脳の神秘的な現象は、実はプロの占い師でも最初の数人を観るのが限度で、あとは何を頼りに鑑定するかというと、統計学である。

勘とは正反対で、客の手の線と自分の頭にある統計学の知識、そして目の前の客の様子をよく見て、この人は何を言ってほしいのか、どこまでなら言っても反応を起こさないか、真剣度はどれくらいかを読み取っていく。

考えてみると、これは診断基準を念頭に患者さんを診察するのと非常によく似ている。

そういう意味では、医大祭で100人以上の手相を観たことは精神科医の修行になったのかもしれない。

手相と精神療法の違いは、手相は「言いっ放し」という点だと思う。定期的に、同じ占い師に通う人もいるが、そうなるとこれは占いと言うよりカウンセリング・相談に近い。ほとんどの人は、1回限りである。

占いというものは、悪いことを言われてもへこたれず、それをプラスに替えることができる人には利益になるが、そうできない人は、占ってもらって嫌な気分になるだけである。1回きりを良いことに、商売で耳触りの良いことばかり言ってくれる占いばかり求めてドクターショッピングならぬ「占いショッピング」をする人が世の中には結構多い。不安でたまらず、繰り返し“安心の保障”を求めてくる。

朝のテレビで「今日のあなたの運勢」と言った企画が人気だったり、ネットを開くと「あなたの未来を、無料で占います」などの宣伝が氾濫している。そこにアクセスすると、実は違法な販売に繋がったりすることが多いが、不安で仕方なく嘘でもいいから「良い未来」にすがりたい人が、いかに多いかが分かる。

ちなみに、占いには手相以外に占星術やタロットカードなどがあるが、面白いことに古来から、王侯貴族は国全体の流れを見るために占星術を好み、一般庶民は、より個人的な結果が出るタロットカードなどを好んだそうだ。