がんと向き合う

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溝口隆馬さん
(みぞぐち・りゅうま)
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1954年生まれ、福岡市在住。JR勤務。妻と息子3人の5人家族。44歳のとき数ヵ月間血便が続き、近所の肛門科を受診。すぐに総合病院を紹介されてそこで直腸がんと診断される。直腸切断手術を受けて人工肛門を造設。ステージ(病期)は2。術後は6年間、抗がん剤を服用。現在は定期的に検査を受けている。趣味はシャンソンを聴くこと。
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44ヵ月後、仕事に復帰

「装具の交換がなかなかうまくできないということもあり、入院で2ヵ月、自宅で2ヵ月、計4ヵ月仕事を休んで、(復帰してからは)軽い仕事というか、以前と同じような仕事をさせてもらえたので、その点は助かりました。

仕事柄、突発的に徹夜勤務があり、一旦家に帰ったあと呼び出しが来たりすることが結構あるものですから、退院後はなるべく徹夜作業だけは控えるようにしていたのですが、ここ2〜3年はだいたい調子も戻ってきたので、無茶はしない程度に徹夜勤務も月に何回かあればやっています。

(徹夜勤務は)きついというか、もうとにかく寝たい。昔40歳台では考えられなかったように、回復力がもう全然なくなっているなと思います。」

●職場のトイレを改造してもらう

「当時のJRはほとんど男性ばかりで、和式中心のトイレだったので、それが最初は苦痛というか、とまどいました。

しゃがんで便を捨てるということがあるので、小さい棚があるトイレであればいいのですが、通常のトイレはただカバンをかけるフックがあるくらいなので、もう(アクセサリーや装具を)床に置いたりポケットに入れたり、そんな感じでした。

助かったのは、私が病気をしてから会社でオストメイト対応のトイレ※ではないですが、本当にその走り的なトイレに一箇所だけ改造してもらったのです。装具の交換に必要な小物ポーチも置けるし、両手を使えるトイレだったので、安心できる面がだいぶありました。たまたま私は上司に恵まれて、大きい改造費もなくできたようです。」

オストメイト: 人工膀胱、人工肛門をもつ人のこと。
※参考「全国のオストメイト対応のトイレ」― オストメイトJPのHPより

●今でもたまに出血

「手術して数年間はずっと旧肛門部からの出血がずっと続いていて、紙おむつのようなものをずっとあてて会社に行っていて、それが煩わしかったです。本当は治るはずなのになぜ出血だけ止まらないのかな、という疑問をもちながらずっと生活していました。

CTを撮ると、『何かの塊がある、それも取ったほうがいいでしょう』ということで、もう1回同じような手術をしましたが、うまく取れたのかよく分かりません。今もそういった手術痕みたいなものがCT等で写るので。

原因はよくわからないのですが、傷口が塞がる前にそこから細菌が入るのか、体調の悪い条件が重なったときにそうなるのか、今でもたまに出血はしています。患者会でも出血する人というのはあまり聞かないですね。痛いという人は結構いらっしゃるのですが。

お尻の痛みと言うか、しびれた感覚というのはもう今でもずっと続いています。腫瘍マーカーも特に変化はないので、いちおう良性のものだろうという判断で今は行っています。やはりそういうのができやすい体質なのかもしれないですね。

最初の5年が何事もなく過ぎて、いちおう10年も過ぎたので、病院の先生も多分大丈夫だろうとはおっしゃってくれています。このお尻の違和感は別にして、まあ大丈夫かな。あとは定期的に検査をして、以前の数値と比較すればちょっとした変化はそこでわかるのかなという気分でいますけれども。

今の主治医は、再発のこともそうですが、ストーマのことまで気配りをして聞いてくださるので、そういう先生だと診察を待っていてもほっとするというか。変な先生にあたるとそれだけで気持ちがムシャクシャするし、病院を変えようかなと思ったこともありますが、変えても症状をその病院に伝えるというのはなかなか難しいので、主治医の巡り合わせというのも大切だなという気はしています。」