がんと向き合う

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豊 秀之さん
(とよ・ひでゆき)
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神戸市在住。美容室経営。2008年、46歳のときに直腸がんが見つかる。4つ目の病院で、直腸がん切除術を受ける。一時的に人工肛門を設置。ステージは2b。「こんいろリボンの会」を作り、医療用かつらを置く台を全国の患者さんに無料で提供するほか、大腸検査の重要性を呼びかけている。家族は妻と娘。目標は、いつかホノルルマラソンに出ること。がん患者団体支援機構理事。
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3直腸がんの手術を受ける

「いったん直腸を切るわけですが、がんのところを切除して、腸と腸を縫い合わせます。そこが縫合不全(ほうごうふぜん)というのを起こして、縫っていたところがはずれて、3日後にまた手術をしました。僕の兄は「それ、失敗なんちゃうん?」と言っていました。けど僕自身がやっぱり最終的に自分で先生を選んだというのがあったので、それだけ(先生を信頼するだけ)だったと思うのです。

いろんな方に『この先生がいい』と他の先生のこともたくさん聞いたのですけど、情報がありすぎても僕としては『どうなのかな・・』というのがありました。本当に自分がこの先生がいいと思うかどうかのほうが大事だと思うのですね。たまたまその先生を僕は信頼できたのですが、それまでに信頼できる先生がいたら、その先生で手術していたかなと思います。

手術の件数も2000も3000もあったほうがいいというのではなくて、1回もしたことがないというのだとやっぱり恐いな、と思うのですね。20回ぐらいしている、30回ぐらいしているということなら、僕だったらもう十分、大丈夫かなという感じがしますね、先生と相性が合えば。相性が合わなかったら、100回やっていても何か合わないような気がします。持論ですけど。」

●一時的に人工肛門になる

「縫合不全をもう1回縫い合わせて、その代わり人工肛門を出しました。腸の縫ったところをしっかりひっつけて、そこはしばらく使わないでしばらくそのままにそっとしておくために、人工肛門を半年間ぐらい使おうという手法みたいです。

食事は、術後10日目ぐらいまでが水で、あと2週間ぐらいがおかゆさんで、最後の10日ぐらいが普通の硬いご飯でした。」

●術後、性機能がなくなる

「実は私は、今回直腸がんの手術をしてリンパも一緒に切除したのですが、一緒に性機能もなくなるということがありました。そういうのは術前にわかるのであれば、もっと伝えてほしかったなと思います。そういう可能性があるということを伝えてあげるというのは大事だと思うのですね、何かにつけて。たとえばそういう性機能がなくなるとか、低下するとかもそうだし、リンパをとるということは、ほかの何か問題があるかもしれませんね。

『転移していたら困るのでリンパはとりますよ』と言うので、『はい』となりますよね。『でもその代わり、こういうことが起こる可能性がありますよ』というのはお伝えするべきだろうと思います。あとになってからではやっぱり困る方もいると思うのですね。たとえば子供さんが欲しかったという人もいるかもしれないし。うちはいますからいいのですけど、そういうのは本当に大事だな、と思いますね。」

参考) 直腸がんの手術の後遺症について
「体が手術から回復するにつれて、この排便障害、排尿障害、性機能障害も回復してきます。半年〜1年ないしは2年で、徐々に回復していくと思います。」
JPOP-VOICE「大腸がんの基礎知識」より >>

●ずっと気になっていたこと

「内視鏡のカメラをお腹に入れて、小さなポリープを針金でとっていくときに、止血するために小さい洗濯ばさみで挟みました。それをお腹の中に置いたままカメラが去って行くので、最後そればかりが気になりました。あの洗濯ばさみはどうなるの?と。

その洗濯ばさみは実は自然に便と一緒に流れるらしいのですけど、それがわからないので4ヵ月ぐらいたって、入院してからもまだ気にしていたのですね。手術する先生に思い切って聞いてみたら、『もう多分ないと思うよ。あれは、流れるんだよ』とそこで教えてもらったのです。やはり、今まで元気だった人間だと、腸の中に何か残っていると思うと不安なので、検査のときに『それは自然に流れますからね』とか何か言ってほしかったなと思います。トイレに行ったときは見るようにしていたのですが、見つけることができなかったです。それはいまだに解明されておりません。」