がんと向き合う

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武藤 勇 さん
(むとう・いさむ)
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岡山県出身。41歳(1986年)のとき家族性大腸ポリポーシスによる大腸がんと診断され、大腸を全摘出、ストーマ(人工肛門)を小腸に造設。60歳でガソリンスタンドの経営を退き、人生を探す旅を開始。2010年旅先の北海道で感じた思いから、牧師になることを決意。自宅を「フリースペース風曜日」として開放、お年寄りから若い人まで多くの人が交流する場となり、自身の使命を追求する毎日。
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3コンチネント・イレオストミー

「はじめてストーマと対面したとき、私は自分で自分のストーマが見えなかったから、看護師さんが鏡を持って来てくださって、『初対面です。かわいい、ストーマですよ』と言って。鏡を通して、まだ傷跡が生々しくパイプがつながっている真っ赤なストーマが見えて、愛おしい思いがしました。『これと今後、付き合っていくんだな・・・。でもこれのおかげで生かされた。本当にありがとう』と。

私のはコンチネント・イレオストミーで、小腸の内側におそらく1リットル少々は便がたまるパウチを作って、通常は(皮膚の表面には)紙おむつをあてて、紙おむつに腹巻をしている。もう全くパウチとか装具はいっさい使っていません。術後20数年ずっとそれで、排便のときにはカテーテルを挿入して流し出すと。だからパイプ(カテーテル)1本持って旅行にも行きます。」

●自分で任意に排便

「1日にだいたい3回、朝・昼・晩、ときには夜中にも出すことがあります。1回の減圧(排便)が15分から20分ぐらいでしょうか。パイプで流し出すんだけど、細いパイプだから固形物が詰まる。そうするとカテーテルを掃除しながらまた抜くと。減圧の時間がときには1時間ぐらいかかる日もありますね。掃除しながらまたやり直すと。無理すると傷つけて、血が出ます。でも腸の傷はすぐ治るみたいで、すぐに血は止まります。」

* * *

※ コンチネント・イレオストミー
便を一時的に溜められるように、小腸の一部を袋状に成形した嚢(ふくろ)を伴うように作成された回腸ストーマの術式。一般的なストーマ装具としてのパウチを用いる代わりに、嚢に溜まった便を随意的にカテーテルを用いて排泄を行う。合併症や手術手技、管理上の問題などから、より多くは、従来の回腸ろう(回腸ストーマ)造設術が行われる。