がんと向き合う

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川上 祥子さん
川上 祥子さん
(かわかみ・さちこ)
NPO法人キャンサーネットジャパン 渉外・広報担当理事

看護師。東大病院放射線科病棟にて臨床看護に従事。2000年より現職にてEメールによるセカンドオピニオン相談窓口として患者と医師のコーディネーションを担当、累計2000件以上の相談を取りもつ。

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8痛みのつらさ

「痛みは人を変えてしまうんですね。長く入院していらした方で、とても品格がある男性で、知的な職業についていらした方が、痛くて痛くてちょっとコントロールがきかなかったときは、もうナースコールを何度も何度も押されて、ちょっとした暴言をはいてしまったり、それをまたあとで反省してしまったり、と。ものすごくそれはみていて辛かったですけれども、そういう状況になってしまう方もいらっしゃいました。その方に関して言えば、その後きちんと痛みがコントロールできて、もとのその方に戻られたんですけれども、そういう状況をみている家族もやはり辛いですよね。 それから、すごく明るく振る舞っていらした30代の若い女性の方が胆管がんというがんだったんですけれども、日中は婚約者の男性がお見舞いに来ていて、いつも明るく振る舞っていて。『あ〜ほんとにすごいな』と、私は同世代だったのでそう思ってみていたのですが、その方が夜ベッドで本当にこう涙を流して『痛〜い痛〜い』って泣いていたり。夜はナースコールを押してくれるのですが、昼間は一生懸命、家族が来てくれるので耐えているのですよね。痛みをみつけて先生に報告しようと思っても、日中はたくさんの先生がいらっしゃるし。いろんな科の先生に相談できるのですが、夜間だとなかなかすぐに対処ができなくて。だからそういうのは日中にきちんと医師に伝えてしかるべき処方を出しておいてもらわないといけないのですけれども・・・」

●痛みを我慢しないでください

「特に高齢の男性の方は、(痛みを)我慢しなくちゃいけないと思ってるような節がある方もいて、我慢したことを『偉い』と、ご自身で頑張ったんだというふうに思う方もいて。痛み止めのおくすり、たとえば定期的に飲むおくすりのほかに、ちょっと痛みが増したときに緊急に飲むおくすりと2種類を使って痛みをコントロールすることが多いのですが、普段飲んでいるおくすりでコントロールできないときはそれを飲んでくださいね、いつでも出せるので言ってくださいねというふうに言ってるのですが、それを「今日は飲まないで済みました」と言って、何かこう誇らし気におっしゃるのですね。「でもま、ちょっと痛かったけどあれぐらいでは私は飲みません」とか。それはやはり、その人の誇りに関わることなのかもしれないですが、我慢しないでくださいというふうに何度も何度も繰り返し伝えていかなくてはいけないかなと。やはりそれを我慢することで、どこかできっとストレスが溜まってしまうのではないかなというふうに思うので、できるだけその理解をしていただけるよう、何度も何度もお話ししていくことが大事かなと思います。」