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野田 祐紀子さん
野田 祐紀子さん
(のだ・ゆきこ)
九州大学病院
麻酔科蘇生科外来医長
同病院がんセンター緩和ケアチームのコアメンバーのひとり(身体症状緩和担当)。1997年より同病院ペインクリニックにて、がん性疼痛、神経因性疼痛、慢性疼痛など各種痛みの治療に携わるなか、がん治療と並行して早期から緩和ケアを行うことの重要性を認識し、日々奮闘中。
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3WHO方式がんの痛みの治療とは

図:WHO方式がんの痛みの治療
■WHO方式がんの痛みの治療法
「WHO方式というのは世界保健機関WHOが提唱しているがんの痛みの治療法で、がんの痛みの程度に応じて薬を使い分けていく3段階除痛ラダーという方法です(右図)。 1段階目の軽い痛みに対しては医療用麻薬を使わず、一般の頭痛などに使われる薬で治療していきます。 2段階目の中程度の痛みには、弱い医療用麻薬を使っていきます。 それでも痛みが取れないかなり強い痛みになってきた場合は、強い医療用麻薬を使っていきます。3段階ではありますが、1段階目からいかないといけないということはありません。ものすごく強い痛みの場合は、1段階目を飛ばして、2段階目や3段階目から始めることもあります。」

●医療用麻薬が効きにくい場合

「今、申しあげたような薬だけで痛みが取れない場合も多く、どうしても一般的な鎮痛薬や医療用麻薬が効きにくい痛みがある場合は、鎮痛補助薬としてたとえば抗うつ薬、抗けいれん薬などを使って治療していきます。そのほかに痛みを和らげる方法としては、痛みを伝えている神経を薬(局所麻酔)で麻痺させることによって、痛みが伝わるのをブロックする『神経ブロック』という方法があります。骨の転移による痛みに対しては放射線治療がよい適用になることがあります。」