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野田 祐紀子さん
野田 祐紀子さん
(のだ・ゆきこ)
九州大学病院
麻酔科蘇生科外来医長
同病院がんセンター緩和ケアチームのコアメンバーのひとり(身体症状緩和担当)。1997年より同病院ペインクリニックにて、がん性疼痛、神経因性疼痛、慢性疼痛など各種痛みの治療に携わるなか、がん治療と並行して早期から緩和ケアを行うことの重要性を認識し、日々奮闘中。
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5ゆっくりと対話することが大事

「痛みには、体の痛みだけではなく、心の問題や、取り巻く環境などいろいろなものが関与している場合があります。その場合は、患者さんが今実際どういうことで苦しんでいるのか、ゆっくり話を聞いて、何が実際に問題になっていて、どう対処していくべきかを聞き出していくことが重要になってきます。たとえば、気管切開をして声が出せない患者さんはコミュニケーションをとる際にどうしても筆談が必要になり、時間がかかります。そうした患者さんが私どものところに最初に来られたときは、非常にいろいろな気持ちをため込んでいらっしゃることが多いのですね。(コミュニケーションに)時間がかかる方の場合、患者さんがどのように感じていて、どんなことで苦しんでいるのかを把握するのはやはり難しいのですが、患者さんのつらい気持ちを患者さんの表現方法に応じて引き出していくことが大事なのかなと思っています。」

●医療者に痛みが伝わりにくい場合

「病院に行って診察を受けるときに『痛いです』と伝えるだけでは、どのように痛いのかが医師になかなか伝わりにくい場合がありますので、たとえばどこがどのように痛む、びりびり痛む、ずきずき痛む、どの程度の期間痛む、何をしたときに痛むといった詳しい情報を伝えていただくと医師もそれに合った薬を使うことができますし、患者さんに合った使い方で処方することができます。そうした情報を伝えていただけると非常に助かります。 ご家族の方はいちばん近くで患者さんをみておられますので、どのように痛がっているとか、今度の薬はよかったとか悪かったとか、患者さんのご家族からお伺いする情報が非常に有効であることがあります。私自身がご家族の方のパワーをとても感じることがあります。たとえば、私が処方した薬でなかなか痛みが取れない場合でも、奥さんが足をマッサージしてあげると気持ちよくなって眠ってしまう患者さんもおられ、ご家族の方の力といいますか、そうしたスキンシップも含めて患者さんにとってはものすごく力になるのではないかと思っています。」