「支援者で悩まれる方が多いのですけれども、先ほどお伝えしました不自然な化粧になることが精神状態によってもあったりします。やはりお化粧というのはその人の中心となるお顔に施しているので、その人の価値観もありますし、『それちょっとおかしい』とか、指摘をすることは絶対にしてはならないと、私も思っています。
人からの評価は様々ですので、それが間違ったわけではないのですけれども、あるスタッフの方が、『ちょっと口紅赤すぎない?』『眉毛、ちょっと濃すぎだよね』と軽く言った一言がすごく気になって、『眉毛のお化粧はもうしません』というふうになってしまう方もいらっしゃいますので、お声がけはとても重要かなというふうに思います。
ただ、人との関係性の中で、人を印象づけるのは、洋服もあるかもしれないですが、やはり表情を含めたその人の顔を見て、その人を『こういう人かな』と印象づけるのですね。関係が浅い時には、その印象を元に交流をしていきますので、やはり第一印象というのはとても大事になります。
ですから、不自然な化粧であった場合は、『もう少し、このようにしたほうがより似合うのではないか』ということをお伝えしたほうが良いと思います。その方が納得できるような理由づけですと、非常にそれを取り入れやすいかなというふうに思います。
お化粧をされている方に対して、魅力的な言葉があれば、たぶん、『じゃ、やってみようかしら』というふうになると思うのですよね。例えば、こういうふうにすれば小顔になりますよとか、こういうふうにすれば目が、今よりもっとパチっとなりそうですねとか。」
「施設とか病院で支援をする時には、個別での対応がなかなか難しくて、研究されている方の論文を見てもそうなのですが、数名の方を対象にして支援者が支援をするということが多いかと思います。そういった中で、化粧品を共有することがあると思うのですけれども、肌に触れる道具というのは、共有しないようにしていただきたいなと思います。
どうしても、参加される方もそうなのですけども、化粧品は、いつもと違ったものを使うと、肌荒れが気になるからといって、ちょっと躊躇される方がいらっしゃるのですけれども、そういったこと、肌へのマイナスの影響というものを避けるためにも、肌に直接つけるパフだったり筆だったりは、個別で準備して、毎回洗うということをやっていただきたいなと思います。
あとは、お化粧は、私も経験があるのですが、病院に入院されている方にした時に、とても他の方から良い評価を受けてとても嬉しくて、病室でもずっとしたまま朝を迎えるということのないようにしなければいけないですね。それも肌への影響に関わるのですけれども、お化粧は必ず夕方には落とすと。ですから、ただ、お化粧をする方法だけをお伝えするのではなくて、落とすことの重要性やクレンジングの方法も、やはり支援しないといけないなと思います。」
「やはりお化粧品が合う・合わないということはあるかと思います。ですので、パッチテスト(アレルギー反応の検査)という言葉があるのですけれども、本当にきちんとしたパッチテストは専門家の方が見なければならないものですので、そういうことは、1回1回はなかなか難しいので、一応数日前に、肌の弱いところ、内側に化粧品をつけていただいて、赤みがないか、かゆみがないかを見ていただくと、お化粧品がそこまで肌に合わないということはないかなと思います。
特に、肌に浸透しやすい化粧水とか乳液とかを試していただくのがいいかなと思います。それでもやはり、プログラムをしている時に、違和感があった場合には、すぐにお化粧を取るということが大事ですし、あとは、ご自身でもし使っているものがあれば、そちらを持ってきていただくのが良いかなと思います。
いろんな商品があったり、いろんなタイプがあったりしますので、ブランドで決めるというよりも、ある程度、敏感肌用だったりあまり刺激のない、少ないようなお化粧品を選ぶと良いかなと思います。」