統合失調症と向き合う

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井村克子さん
井村克子さん
(いむら かつこ)
昭和20年生まれの満71歳(収録時)。息子さん(46歳)が当事者で、高校2年生時に発症。元々てんかんがあり最初の受診から約10年間は「てんかん性精神病」、平成13年に「統合失調症」と診断される。専門学校卒業後、就職するが退職。母親である井村さんは会社勤めをしていたが、自身の体調不良により退職し、その後は家族としての経験を生かし、同じような家族へのこころのボランティア活動を行っている。娘さんもいるが独立している。
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9メッセージ
Q.同じようなご家族へメッセージをお願いします

「今よく聞きますことは、『親が死ぬまでに、なんとか生活ができるようにしていってやらな』。で、『お金を残してやらな』とか『住まいを考えてやらな』とか、そういった先々のことを言われる家族の人がほとんどなのです。親の元気なうちに、いろいろな制度を使えるようにしていてあげるとか。つながりが大事と思うのです。行政なり、支援センターなりへつながっておくのがいちばんいいかなと思うのです。」

Q.相談されるご家族へアドバイスされるときに留意していることは?

「そうですね、言うことは、『こうしなさい』『ああしなさい』じゃなしに自分で考えるようにしているのですけど、『うちの子やったらこういうふうに言うよ』というふうに。そういうたとえで言うようにしているのです。」

Q.若い親御さんからの相談もあるのでしょうか

「若いお母さんは、こういう家族会がありますよと言っても、やはり経済的に現役で働いていますよね。それと、やはり、自分の意見を通そうとする。だから、私もそれも辿ってきたけど、自分の思うようにしたいという気持ちもありますよね。やはり若いお母さんたちは、苦労してきた先輩のお母さん達の話を聞いてほしいかなと思うのです。」

Q.医療従事者などへのメッセージは?

「医者、看護師、ワーカーとか病院関係のいろんな職種の人と、気楽になんでも話ができる密着した関係が持ちたいと思います。

もうちょっと、ざっくばらんに話ができたりすると、拒否している患者さんなどが少なくなるのではないかなと思うのですよね。『あそこはあかん、先生が言うこと聞いてくれん』というのを聞きますので。やはり聞けないところもあるとは思うのですけど、それなりにプロはプロなりに納得のいくように説明してやってほしいと私は思います。」

Q.誰からの意見がいちばん役立ちましたか

「こうしたほうがいいですよというふうな直接のことは聞けなかったのですが、年金を受ける時に、一所懸命で、本人も最初は嫌がっていたのですけど、『お金云々じゃなしに、そんな年金のお金みたいなの要らんだら、お母さんにやりな』とかというふうに、いろんな言葉で(息子を)説得してくれた時は、私は嬉しかったですね。

看護師さんが先に言ってくれて、そのあと先生がいろいろ診断書などを書いてもらわならんし。で、うちの子は、紹介状とか診断書とかでそういうのを書き上がった時点で、自分が確認しないと承知しないのです。その年金の時の診断書も、先生が1つずつ説明してくれまして、『ここはこんなふうやでなぁ、あんたは、こういうとこができやんやろ?』とか、それがいちばん嬉しかったですね。」

Q.息子さんやご自身の今後についてお考えがあれば教えてください

「私はですね、また前みたいに自立してほしいという希望はすごく大きいのですけど、家も、私がいなくなったあと、どうなるかは分からないのですけど、グループホームがいちばんいいかなぁとは思うのですけど、やはり一人で生活してほしい。

アパートかどこかに入って、ヘルパーさんなり、そういった支援を受けながら、ずっと、息子は息子でやっていってくれたらなというのを、いちばん願っているのですけど。でも、まあ家に帰りたいと言えば、家で生活もというふうなことも思うのですけど、今、本当に私、複雑なのですよ。」

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