「元々、生まれつきすごく疲れやすい性格で、人に合せるのが難しいというか、ついて行くのがやっとでした。学校の授業も全然分からないし、スポーツもまったくできなかったし…。家の手伝いは結構していたんですよね。学校では友達もあんまりいず、結構ぼうっとしている性格でした。
発病するきっかけになったのは、家族の中にいると自分がだめでしょうがないというか、もう情けなくて、いつもみっともなかったので、家を出ればしっかり自立できるかなあと思いまして、高校から(他県の)寮に入って、すごく頑張ったんですけども、やっぱりホームシックとか疲れ、過労ですね。で、友達関係がうまくいかなくなって、被害妄想になって、学校に行けなくなって…。
そのうちだんだん“悪魔”というのが怖くなって…。寮の先輩が自殺未遂をして、で、『この寮には悪魔がいるのかな』という幻覚・妄想に襲われて、悪魔と闘って…、次の日、担任の先生に精神科に連れて行かれました。
その前に学校に引きこもって、学校の先生達に水を配ったり、泣きわめいたり、『家に帰らない』と言って…。(実家から)うちの両親も来たのですけども、それでも被害妄想が治まらなくて、自殺しようとしたりしました。」
「家には絶対に帰りたくないと思っていたのですが、病院に連れて行かれた時に、なんかあきらめましたね。もうだめかなあと思いまして。疲れたというのもあったのですけど。『薬を飲めば楽になるよ』と言って渡された時に、『あ、この薬飲んだら死ぬかな、もう私は終わりだなあ』と思って…。で、もう、あきらめるように(薬を)飲みましたね。」
「私が何もしゃべらなくて、黙っていたんです。家族とも、誰ともしゃべる気がしなかったので、黙っていたので…。先生は、神経性胃炎とおっしゃっていました。だから『このお薬は何ですか』と聞いたら『神経性胃炎の薬だよ』とおっしゃっていました。
(症状は)なくなりました。その時はたぶん、(病院には)月に1回くらい行っていたような気はします。」
「なかったです。
ただですね、村上春樹さんの『ノルウェイの森』を友達から借りて読んでいたんです。発病する直前に。ですから、精神病があるというのは、『ノルウェイの森』を読んで、あ、こういう世界もあるんだとかは思っていましたね。自分がその世界に行くとは思っていなかったですけど。」