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小川 清子さん
小川 清子さん
(おがわ・きよこ)
1955年生まれ。島根県益田市在住。2007年に肺がんと診断され病院を転々としたのち、専門病院での抗がん剤治療が奏効し、現在は自宅で療養中。喫煙歴なし。夫と息子、娘2人の5人家族、現在は夫と2人暮らし。1998年に益田駅近くに一軒家を借りて、子供からお年寄りまで地域の人の交流の場としてNPO法人息域(いきいき)スペース ポコ・ア・ポコを開設、現在はがん患者のためのサロンも月に2回開いている。
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2抗がん剤治療

「3回入院して、1回目の抗がん剤が2007年10月から1ヵ月ちょっとです。体調もよく、副作用で抜けると言われてた髪も抜けませんでした。副作用もそれほどきつくないし、身体に合っているということで、あとは通院して外来で抗がん剤を打つことになり、4クールか5クールしました。いちおうその抗がん剤が終わって1ヵ月して検診に行くと、また少し腫瘍マーカーが上がっていて、『次の抗がん剤をしましょう』と先生がおっしゃいました。しかしその頃いろんな本を読んでいて、抗がん剤はがんを叩くけれどもほかへのダメージが大きい、衰弱死(もある)という言葉を耳にしていたので、はたしてこのまま、抗がん剤を続けることが本当にいいのかと悩みました。そこで、その頃たまたま知り合った東洋医学の先生のほうへ行くことにして、抗がん剤治療はしばらくストップしました。」

東洋医学のほうへ進む

「東洋医学では、リンパ節のマッサージや血の巡りをよくするようなことをしたり、カウンセリングではないですが、精神的、リラックス的な指導を受けたり、自然治癒力を高めるような本を読んだり、そういうことだったように思います。そうするうちに、左肺のほうに胸水がたまってすごく痛みがきだしまして、それからもう一度、地元の病院にかかったという経緯があります。

そこは地元の大きな総合病院ではあっても、専門の先生がいらっしゃらなくて、レントゲンで肺全体が真っ白くなっているのを見ても、『これはたいへんですね』と言われるだけでした。痛み止めを飲まされて、『もしなんだったら入院を』と言うけれど、これも終末期の緩和というか痛み止めだけの入院という感じでした。何かすごく不安になり、夫が『とにかく隣の市の病院で診てもらおう』ということで、次の日に行きました。」

胸水を抜く

「先生がレントゲンとCTを見られて、『これはすぐ水を抜かないと危ないよ』ということで、その日の午後、すぐに胸水をとってもらいました。

実は肺に水が3リットルもたまっていて、この3リットルというのはかなりびっくりされる数字みたいなのです。トイレに行くのも辛いような感じでした。3リットルもたまっているから心臓と気管支が押し寄せられて、かなり息苦しい状態だったのです。

胸水をとってもらい、私自身、これで楽になると思っていたのですが、胸水は抜くとすごくしんどいみたいで、水さえも戻すような状態が続きました。死までは思わなかったのですが、だんだん弱っていくのはわかりますので、周りはもう初盆かなと思ったようです。でも私は、『もう1回あの最初の病院にかかったら元気になるのではないか』と思っていました。これでは死ねないというか、この痛みでこのまま死ぬような感じは、私はしなかったのです。」

専門病院に戻る

「そしてまた最初の病院に戻りました。私が本当にきつくて、医療用麻薬を飲みながら横になっていたときに、先生が『小川さん、きついでしょう。でもね、もうちょっとしたら、来週になったら元気になれるからね』と言われたのです。私はそのときは『今のはどういう意味だったのかな』と思っていました。そのとき先生は来週からまたすべての検査をして、イレッサを試みてみようと思っておられたのです。

イレッサを飲むようになって、本当に1週間もしないうちに徐々によくなりました。だから先生は、イレッサがもし私の体に合えばしんどさはなくなるというのをもうわかっておられたのです。イレッサはよく言われるように、『東洋人』で『女性』で『たばこを吸っていない』などいろいろな条件があり、それが私に合っているので、先生はもう最初から『これでいきましょう』とおっしゃいました。おかげさまで、それが今たまたま合っているというところです。

私はもうその先生にすごく信頼をおけるようになりました。今までは、データを見てすぐ判断するところが嫌だなと思っていたのが、変わったのですね。医学の面、薬の面では先生は専門医だというところで、この先生についていこうと思いました。」

イレッサ®錠 (一般名:ゲフィチニブ)
肺がんの治療に使われる抗がん剤の一種。がん細胞だけでなく正常な細胞にも作用する従来の抗がん剤とは異なり、がん細胞の増殖や転移などに関わる特定の分子をターゲットにする「分子標的薬」という新しい抗がん剤。手術適応のない再発した非小細胞肺がんの患者さんに使われるが、有効となるタイプの患者さんは限られていると言われている。また重大な副作用(間質性肺炎)が現れることもあり、使用にあたっては十分な注意が必要とされている。