「とにかくもう何が起きたか訳が分からない状態でした。でも、まあ、先生からは、『薬で治るから大丈夫だよ』ということでしたので、『あ、治るんだ』ということが、私の中には1つ入って…。どんな状態かを聞いたときに、『分裂傾向だけれども、治るよ。だから、心配しすぎないように』というふうに言われたので、あ、薬を飲んで、ちゃんと通院すれば治るんだということで、とにかく毎日薬を飲んで休んでもらってということで、最初は週に1回、だんだん2週間に1回というような形で、服薬と通院を続けていました。
半年ぐらい経ったらだいぶ落ち着いてきて、睡眠薬はなしで眠れるようにはなりました。あと、もともと旧薬のときの治療でしたので、その旧薬の抗精神病薬を飲んで、ほんとに治ったかのように、10か月ほどでまったく元の娘に戻ったかのような状態になって、本人も、『お母さん、もう治った、私、大丈夫』というような状況になりました。」
旧薬:新規抗精神病薬以前の抗精神病薬。現在でも用いられている。
「その時点で、お医者さんも治ると言っていたし、治ったんだ、良かったねということで、本人も、もう病院に行かなくていいと言っていたので、もう、ほんとに知識がないというのは怖いことだなと思うんですけども、『あ、良かった良かった』と言って、私ももうそれ以上病院に行きなさいとも言わず…。
本人も、何か仕事を始めなくちゃということだったんですけど、ま、慌てないで、前のように、前は夜勤とかがあってかなりハードな職場だったので、あまりきつい職場に入ると、また具合が悪くなることもあるだろうから、ゆっくりとしたペースで働けるようなところを探せばいいんじゃない?というようなことで、3〜4か月かけて、自分であちらこちら回って見つけてきた仕事が、ホームヘルパーの仕事でした。週に何時間とか、自分で働く時間を選べるような働き方ができるので、仕事を再開したというような経過があります。」
「(その後、病院は)まったく行きませんでした、そのときは。
私からすると、(医師から)あまり説明もしていただけなかったですし、何か、ただただ黙って薬を飲んでいれば大丈夫だよというような対応だったので、ちょっと納得いかない部分があったので、娘がもう行かなくていいと言ってくれた時に、半分安心したというか、ああ、もう行かなくていいんならいいやと、『縁が切れて有り難いわ』ぐらいの感覚でいましたね。治していただいたのは有り難かったけれども、ずっと通いたいという雰囲気ではなかったです。」