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田中美智子 さん
(たなか・みちこ)
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1922年生まれ。元日本福祉大学助教授、衆議院議員5期15年。27歳のとき結核で3年間療養、右肺切除。51歳のとき乳がんが見つかり右乳房切除。81歳(2006年)のとき大腸がんが見つかりS状結腸がん切除、ストーマ(人工肛門)を造設、抗がん剤投与のため3ヵ月入院。83歳よりブログ「自然と猫と私」を始める。著書に『まだ生きている』(2009年)ほか多数。
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6福祉先進国スウェーデンの場合

「だいぶ前、私が十何年前にスウェーデンに行ったときも、ひとり暮らしのお婆さんが3つ車椅子を持っていて、全部国が貸してくれて、死んだら返すの。それにまた手を加えてね、使う人の身体に合わせて改造するんですよ。

それでスウェーデンの場合はヘルパーさんが1日何回も来るの。朝起きたらまず(ヘルパーさんが)パジャマをまず着せて、トイレに連れて行くのね。車椅子の真ん中に穴が開いていて、そこへパンツを脱いで座るのね。そうしたらトイレに自分で行けて、そのままでしてくるわけよね。ちょうど便器の上に車椅子が重なって、椅子に大きな穴が開いているから、手がちゃんとしていれば、自分で拭いてくることができるわけ。トイレから出てきたら、普段の洋服に着替えさせてくれて、それでもうヘルパーさんは帰っちゃう。

台所の高さもみんな福祉で自分の車椅子に合わせて作り直してくれる。みんな国がただでやってくれるんだから、貧乏人も金持ちもないよね。それで自分でケーキを焼いたりして。私が行ったとき、『クッキー、焼いておきましたから』って、クッキーを焼いてそれを持ってきて出してくれてね。

そのお婆さんは両足がだめで車椅子に乗っているの。あの人はペンダントをしていて、腕時計みたいなものをしている人もいるけれど、ペンダントをプッと押すと、ポストの数ほどナースステーションがあって、それこそトイレを我慢している間に人が来るぐらいに近いところから来てくれる。同じ制服を着てね。その制服に若い女の子が憧れるというような、ちょっとしゃれた制服を着て来るんだよね。それで穴の開いた車椅子に乗せてくれる。あとは自分でする。トイレから出てきたらまた普通の車椅子に乗る。出かけるというと、またプッとペンダントを押すとヘルパーさんがふぁっと来るの。それで外行きのタイヤの大きい車椅子に乗せてもらったら、あとは自分で買い物に行って、帰ってくるわけよね。

それは全部ただだからね。死んだら国が車椅子を持って行って、他の人に使わせるんだけど、全部その人の身体に作り直すの。そういうところは『たいしたものだな・・・』と思ったね。車椅子も『ちょっと大きいとか小さいぐらい我慢しなさい』と日本だったら言われそうだけど、スウェーデンは全部その人の身体に合わせて作り直すのです。

65歳になったら、国から基礎年金が全部出るのよ。掛け金なしでしょ。だから少しお金を貯めておけばうんといいんだけれども、あの人たちはほとんどお金を貯めない。貯めないで十分なのよ。それで生活保護を受けている人が冬に南フランスの暖かいところに行くというのよ。日本では考えられないでしょ。私は、あまりたくさんは読んでいないけれども、詳しくはいろんな本が出ています。

だから(スウェーデンでは)、人工肛門なんてなんでもないことじゃないの。88歳にもなれば、困ればちょっと押せばヘルパーさんが来てくれるし、ご飯だって困ることはないの。」