がんと向き合う

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山内 梨香さん
山内 梨香さん ①
(やまうち・りか)
看護師
盛岡市在住。2005年末、32歳のときに乳がんと診断される。手術後、骨と肝臓に転移するも、抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法を経て、順調に回復(その後の経過はこちらをご覧ください)。現在は仕事にも復帰し、看護師として患者さんの身体と心のケアにあたっている。2008年に自らの闘病体験をつづった『がけっぷちナース がんとともに生きる』が2009年3月に飛鳥新社より新装刊。ブログ:「生きてる喜び日記
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6自分の治癒力を信じる

「(大腿)骨はあまり進行が速くないようなので、肝臓のほうを先に治療しましたが、骨もやはりもう1回検査をすることになり、2007年9月にMRIを撮ると、『やはりこれはがんの転移だろう』ということでした。骨シンチグラムでもハッキリ映っていました。痛みが8月ぐらいに強くなってきて、歩いているときに突然、足の骨のなかが、うまく表現できないのですが、ズクンッズクンという感じの痛みで歩けなくなったときがありました。入院中にそれを先生に言うと、『手っ取り早く痛みを取るなら放射線治療がいい』ということで、10月から11月半ばまで放射線を25回受けました。あとゾメタという骨を強くする点滴は4月から抗がん剤と一緒に毎月やっていて、『若い方は体力もあるから、抗がん剤を6クールではなくて1年ぐらいはやったほうがいいのではないか』と主治医にも言われましたが、私的にはもう頑張れないというのがあり、最初から『6回』と決めていたので、これ以上髪の毛がないことも耐えられないし、また感染症を起こしたりするし、色々なストレスがかかるのも嫌で、気持ち的にどうしてもうつになってしまうのが嫌だったので、自分の治癒力を信じて、『一旦やめたいです』と先生にお話しすると、先生もわかって下さり、『それでは今度は足の治療をして、ホルモン療法に切り替えようか』ということで、ホルモン療法をしながら、足の放射線を11月までかけました。」

●再び仕事に復帰

「2007年12月に仕事に復帰しました。半日勤務でずっと今まで仕事をさせていただいて、もう私の体がボロボロだということは職場の皆が知っているので、あまり体力のいる力仕事とかはさせてくれないのですね。少しできそうかなと思うような体位交換なども『ダメダメダメ!』と言って無理をさせてくれないので、すごく助かっています。どうしてそこまでして仕事に出ることにこだわったのかとよく聞かれるのですが、自分が看護師から患者になって、いろいろ経験したことがいっぱいあり、いろいろ勉強させてもらったのですね。それで、看護師として何か私ができることがあるのではないかと思いましたし、患者さんに『返していけたらいいな』『返す場がないとダメだ』と思い、仕事に出ようと思ったのです。もっといろいろな人たちに『周りの人を大切にすることの大切さ』とか、『自分の命を大切にすること』とか、あと『一日一日を精一杯生きることの大切さ』をわかってほしいなと思っています。」

●がんが小さくなっている

「検査は結構ストレスです。検査の前後はどうしても免疫力が落ちる感じがして、『もしまた転移していたらどうしよう』とすごく不安もあり、精神衛生上は検査をあまり受けないほうがいいと思うのですが。うちの家族や大切な人たちは、『早くわかったほうがいいから』ということで、1ヵ月に一度でも検査してほしいぐらいだと言いますし、家族の気持ちを考えると『受けなきゃな』と思うので、いつも家族のためと思って検査は受けています。

2008年3月と6月に検査を受けて、おかげさまで『がんが小さくなっている』『肝臓のほうも再生してきている』ということで、すごくいい状態になってきて嬉しいです。」