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「できるだけ社会に近いような場にしたいということがあって、メンバー主役で、メンバーが自主的にいろんな活動をするということを一番に掲げているんですね。それなので、いろんなプログラム(表1)をメンバー主導で展開していきます。
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例えばお料理も、料理長という人がメンバーでいて、その人が中心になってお料理を準備して、完成させるまでの工程をずっと取り仕切っていますし、スポーツもスポーツキャプテンという人がいて、その人がみんなにどんな種目をやりたいか希望をとって準備をして、グラウンドを借りたりとか使用料を払ったりとかそういうこともメンバーが全部やっているというふうな形です。 あと毎月イベントみたいのがあるんですけれども、そういうときにも、メンバーで実行委員会というのをつくって(います)(表2)。まあ私たちがつくるのと同じようなシステムですよね。それで実行委員の人たちを中心に、じゃあ今度はどこに行きたいっていうみんなの希望を聞いて、行く場所を決めて下見に行って、1日のスケジュールを立てたりとか。あと、いろんな係にメンバーに入ってもらって、例えばゲーム係とか会計係であるとかしおり係であるとか係りをたくさんつくって、それぞれが自分のできる仕事を担って準備をしてそのイベントを成功させるというような、そんなシステムになっています。私たちそれを実行委員会方式(図1、表3)と呼んでいるんですけれども、メンバーが主役でいろんなプログラムを準備して、成就していくというような形ですよね。」
「私たち医療スタッフというのは、どうしても病気の部分とかできない部分とかそういうところに目が行きがちなんですよね。そうじゃなくって、精神疾患の人たちも病気の部分ってほんとに1部なんですね、すべてが病気ではなくって健康な部分ってたくさんあるわけですよね。私よりもパソコンができるとかスポーツができるとかお料理ができるとか、そういう人たちたくさんいます。ただ、デイケアに来るまではずうっと家の中に引きこもっていたりとか、何回も何回も社会で失敗とかしたりして、自分の持っている力っていうのを発揮する場所がなかったと思うんですね。デイケアに来てはじめて『ええ、パソコンすごい上手じゃない、教えて』とかね、『こんなに絵が上手なんだ、じゃあこのしおりの表紙を描いてよ』とかね、そういう場を与えられてその人の持っている能力、力を発揮できるというふうに考えています。なので、その人の持っている健康な部分、できる能力は何だろうかっていうことをとっても意識的に見つけ出そうという作業をしています。
課題がたくさんある、お仕事がたくさんあるので、そういうところで自分の得意なことを活かせていくと、やっぱり自分が人の役に立つんだとか、あ、やって良かったなとか、そういう達成感が自信につながっていって、社会に踏み出そうかなっていうようなことになっていくかなというふうに思っています。」
「それから、家族への支援もとてもデイケアでは力を入れています。例えば統合失調症ですというふうに告知されたときのご家族の気持ちってほんとにいかばかりかなっていうふうに思うんですね。吹雪の中に放りだされたような気持ちになったとか、舟が転覆して暗闇の海の中をさまよっているような気持ちだとかというふうにご家族の方お話されるんですけども。統合失調症の病気ってどういう病気なのかというのは私たち学生の頃って習いませんよね、勉強しませんよね。で突然告知されて『それどういう病気なの?じゃあ家族として何をしていったらいいの?』っていうことを相談できる相手とか相談できる場所って、なかなか見つけられないんですよね。やっぱり患者さんが元気になるためには、ご家族に元気になっていただかないと良い影響を与えないわけで、そういうご家族に対しても私たちは何ができるのかということを、患者さんと同じぐらいの比重で大切にしています。
うちは家族会というのを年5回、ご家族が自主的に開催していますけれども、そこに協力したりとか、職員のほうで家族心理教室というプログラムを開催していますので、そこに来ていただいていろんなご相談に応じたりとか、病気の講義をさせていただいたりとか、いろいろな社会資源の情報を提供したりとか、患者さんにこういうときにはこういうふうに対応するといいよねということをご家族同士と一緒になりながら考えていったりとか、そういう場をつくっています。なので、メンバーとご家族と同じぐらいの比重で、元気になってもらおうというプログラムをつくっています。」
「あとやっぱり統合失調症の人も、今でこそいろんな制度とか資源ができてきて、就労がだんだんできるようになりつつあるんですけれども、やっぱり元気になったら、『僕も学校行きたいよ』とか、『働いてみたいな』とかっていう、人間として当たり前なそういう要求って必ず出てくるんですよね。そういう夢をやっぱり叶えてあげるために私たちが何をしたらいいのかっていうことなんですよね。
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この領域というのは、病気だけではなくって、本当に生活に寄り添うということがとても大切だというふうに思っています。」