「今のところですね、発病してから2年ないし3年ぐらいの間を目途として、そこに集中的な、非常に濃厚な支援と治療を提供していくことが重要であるというふうに言われています。
では、実際どういう濃厚な支援、治療になるのかということですけれど、1つは、もちろん薬物療法、薬の治療というのは非常に重要になってきますけれども、それに関してはできるだけ少ない量で、種類も限定的にして、若い人たちが嫌がる副作用、例えば太るとか、性的な機能が低下してしまうとか、そういう薬物の副作用がありますので、若者が納得して薬物をきちんと選べる、飲めるということをしっかり行っていくことが1つ重要になります。」
「薬物療法は1部でありまして、もう1つ、やはり心理療法と言いますか、精神療法というのも非常に重要になってきます。例えば、認知行動療法というものが、イギリスや各国で今、非常に勧められていて、薬物療法と併せて行うことによって、再発のリスクを非常に減らすことができるとか、回復の力を非常に高められるというふうに言われています。薬物療法だけではなくて、精神療法、心理療法というものをきちんと濃厚に提供していくことが重要であると言われています。」
「もう1点非常に重要なのが、本人さん、若者に対して、できるだけ早い時期から、『どういうふうに回復をしていきたいのか』、『病気から回復してどういうことをしていきたいのか』という希望をしっかり聞き取って、その希望に沿った支援を早期から提供していくということになります。例えば、学校に戻りたいという若者がいらっしゃれば、学校に戻るための勉強の支援ですとか学校に来る練習ですとか、そういったことを個別に支援していく取り組みも非常に重要になってきます。早期支援をしっかり行っていきますと、当初、統合失調症の患者さんというのはなかなか復職がしにくいというふうに言われてきましてけれども、半数近い方々が、復職や復学ができるというようなデータも出てきています。」
「もう1つは、ご家族に対する支援というものが非常に重要になってきます。ご家族も、患者さんと一緒で、発病したての頃というのは、何が起きているのか分からない、非常に混乱して一番辛い時期にいるわけですね。そういうご家族に対して、早い段階にきちんとサポートをしていくということが重要になります。ご家族の支援をきちんとしていないとですね、本人さんの治療回復というものがうまくいかないということがあります。そういう意味で、ご家族に対する支援というものを、初期から丁寧に提供していくということが、早期の支援、早期介入において非常に重要な要素になってきます。
具体的にはですね、非常にシンプルなことですが、まずご家族の困ってらっしゃることを非常に丁寧に聞く。それには、1時間とか1時間半ぐらいの時間が必要になってくることがありますけれども、その上で、病気についての正しい説明や情報を提供していくということが重要になってくると思います。
それから、例えば、ご家族が若者の介護で仕事が続けられなくなってしまうような状況が出てきますけれど、そういうときには若者をサポートしていくサービスをきちんと提供することによって、ご家族が仕事を辞めずに生活を続けられるような支援をしていくということも、1つ重要なサポートになってくると思います。」