「この調査をした結果ですね、やはり、個々のご家族、個々の患者さんがしていた体験というのが、みんな共通した問題を体験していたんだということで、非常に体験が共有されたというような印象を持っていただいて、問題は、個別なものではなかったいうことを、みんなで理解する機会になったということであります。
もう1つの反響としては、これまでご家族が調査される対象であるという調査はたくさんあったというふうにおっしゃられていて、今回、ご家族自身が自ら自分たちの経験してきた問題、課題というものを明らかにするということで、自分たちが調査対象ではなくて、自分たちが調査を実施するという立場に初めて立って、非常に調査の意義が、これまでのものと違うという印象を持たれたというふうに多くの方々がおっしゃっていました。そのために、この調査結果もご家族の方々を通して、非常に草の根的にたくさんの方々に広がっていっていて、こういった共通の問題に基づいて、これからそれを改善していく具体的な取り組みをしていこうと、そういう機運が高まってきているというふうに伺っています。」
「この調査はですね、調査を始める段階からご家族の方々と一緒に取り組んできましたので、われわれだけでは絶対にできないものでしたし、ご家族の方々の力が中心になって実施できたものであります。そういう意味で家族の方々の持っていらっしゃる力というものを非常に近くで感じることができて、そういう意味でこれから家族会の方々の声というものが、日本の精神保健医療を変えていく非常に重要な原点になっていくということは感じて、非常に勉強をさせていただいたという気持ちであります。」
「この調査は、ご家族の方々が中心になった調査であります。そういう意味で、ご自身、自らが持っていらっしゃる、感じていらっしゃる問題を明らかにして、それを今後の精神保健のあり方を見直していくために生かそうという、大きい出発点だったというふうに思います。これからの早期支援というものを、日本でも普及していくにあたっては、サービスの内容も変わっていかなくてはいけない、提供体制も変わっていかなければいけない、もしくはサービスを提供していく人たちの教育ですとか、研修のあり方も、さらに変わっていく必要があるかもしれない。いろいろな改革や変革というものが必要になってくると思うんですね。
今後、国の政策や精神保健の医療の改革を進めていくにあたっても、当事者ご家族のご意見から(の)問題意識というものをベースにして改革を進めていくということが重要になると思います。そういう意味で、先日始まりました『こころの健康政策構想会議』というものは、当事者家族の方々を中心に精神科医療の専門医も集って、これからのサービス内容を考えようと発足したわけですけれども、そういう大きな流れの中で、今回の調査というものは非常に重要な原点と言いますか、エネルギーになっているというふうに感じています。」