「松沢病院に、平成21年度の11月に“WAKABAわかば”という若者向けの専門の精神保健医療サービスができました。いわゆる早期支援サービスであります。松沢病院の外来のところにあるんですね。精神科の外来とは少し離れていまして、内科とか耳鼻科とか、そういう他の体の病気と同じ外来領域に、若者向けの“WAKABAわかば”というセンターを置いています。ただしですね、入院施設をきれいに作るとか、外来施設をきれいに作るというところに意味があるのではなくて、他の国々でも同じようにやっていますけれども、基本的には、若い方々のいるところに行ってサービスを提供するということを非常に大事にしています。」
「この“WAKABAわかば”というサービスは、発病して間もない若い方々にできる限り早く来ていただく、もしくは(病院に)来られない場合はこちらからご自宅やご近所にお伺いして、お会いして、そこで支援を開始するというサービスであります。で、サービスが始まってからは、主治医の先生だけではなくて、心理士とか、ソーシャルワーカーとか、看護師さんとかそういう方々が1人、しっかり患者さんご家族に張りついて、濃密な支援を提供し続けていく。およそ2年ないし3年ぐらいのサービス提供期間を想定しておりますけれども、そういったサービスを提供していくという形で行っています。
例えば、なかなか電車に乗ってここまで来られない、それから、病院に行くのはなかなか抵抗があるという方に関しては、支援員、専門の支援をする方々が出かけていってアウトリーチをして、そこでご本人やご家族の相談に乗る、支援をしていくということが重要になっていますので、きれいな病棟ができたよ、とか、そういうことではなくて、基本的にはサービスを届ける、そういう形のチームができているという状況であります。」
「まだ始まったばかりですのでそれほど大きくはないんですが、先ほど申し上げたような専門に個々の患者さんやご家族に張りついて支援していく、いわゆるケアコーディネーターと呼ばれる方が3名ほどいらっしゃいます。その方々が、例えば5人から10人ぐらいの患者さんを担当されて、主治医の先生と一緒にケアを提供しているという状況であります。今のところまだ始まって間もないわけですけれども、現状としては、再入院したりですね、入院することが減っていたり、一番大きいのは治療の中断というもの自体が、非常に少なくなっているという結果が出ています。」
「基本的には、例えばホームページに連絡先が出ていたり、それから、地域の内科の先生や耳鼻科の先生、一般医の先生たち、そのスタッフの方々が、啓発のための連携活動をやってますので、そういったところから紹介を受けて来られるという方々もいらっしゃいます。現状では、直接“WAKABAわかば”のサービスに、ご家族ないしはご本人がご相談のお電話をして来られるというのが多いですね。最初はやはりご本人さんというよりは、ご家族がご相談に来られるということが多いです。
実は“WAKABAわかば”の提供に関しては、1つ大きな条件がありましてですね。それは、われわれは訪問を主体とする、訪問を視野に入れたサービスでありますので、非常に遠いところの方々には実質上提供できないという限定があります。ですから、今、基本的に東京都の世田谷区にお住まいの若い方々のサービスとして提供しているという状況であります。」