「僕が通っていた高校が進学クラスで、みんな、バリバリ勉強していたという環境もあって、いずれは大学に進みたいという思いは高校生、中学生くらいの頃からあって。で、なんの因果か病気になってしまい、ちょっと回り道はしたのですけど。
そのデイケアに通っている間も、できれば大学とか社会に復帰したいなという思いは強くて。担当の方と具体的に大学を目指していこうというふうになったのは、2代目の担当スタッフの時からです。『行きたいな』というぼんやりした思いは最初からあったのですけど、具体的に、大学に行くためには受験勉強もしなければいけないし、ということもあって、そういうのを探してくれたのも、探そうという気になったのも、そのデイケアに通って2年目、3年目くらいの頃ですね。
そのスタッフの方にちょっとこんなところがあるよと勧めてもらって、それで、その次の年にまた担当のスタッフさんが変わって引き継いでくれて。就労移行支援事業所で勉強も見てくださるところがあったので、そこにちょっとずつ通うことになったのが、ちょうど去年(2013年)の8月でした。今年の4月から大学に行き始めたので、都合、半年ほどでしたけど、そこではお世話になって、勉強させてもらって、無事に大学合格をいただいたので、(大学に)通っています。」
「今は人間学部の社会福祉学科というところで学んでいます。
(その学科は)やはり、デイケアに通ったり、病院に通ったりということで、いろんな方にお世話になって、今度は僕が恩返しをしたい気持ちがあって。で、僕ができることはなんだろうと思って。それは、たしかにお世話になった人に直接、恩を返すことも恩返しですけど、じゃあ、今度は同じように困っている人もたくさんいるはずだから、その人達にも自分がさっき言ったようなことと同じように支える、支えていくことが恩返しにもなるのかなと思って、今の学科で学ぶことを考えました。
僕は病気も抱えており、当事者としての目線も持って、かつ、支援者としての専門的なスキルや知識とか知恵とかを持ち合わせれば、独特な視点から物を見ることができる。かといって、当事者目線でも見られるという考え方もたしかにできるのですけど、僕は同じ立場に立てるというふうにはあまり思っていないですね。というのは、やはりデイケアに通っている中で同じような診断を下された人でもこんなにも個性がある、同じ病気と言われてもやっぱり人は違う。もちろん似たようなところもあるし、似たような悩みも持ってはいますけど、こんなにも人と人は違うんだな、こんなにも個性豊かなんだなというのを、改めて感じて……。(だから、僕は、『当事者目線もできる』という表現は、あえてあまり使わないのです。:Y.Y.さんの加筆)」
「今のところ、僕は社会福祉士と精神保健福祉士を目指しています。実習とか忙しくなってきそうなので、しっかりと学んで卒業できたらなと思っています。」
「今のところは、病気のことも友達とかには明かしていないですし。僕がこういう病気を持っていると知っているのは、クラスの担当の先生と学生相談室の先生くらいです。
今のところは、例えば、大学の構内を歩いていて人の目が気になるみたいなものは特になく。友達づき合いも、やはり疲れがちだったりしていつもみんなと一緒にいることはできないのですけど、なんかみんなも根が優しいといいますか。『ちょっと今日はごめん、パス』みたいな感じも受け入れてくれて、『じゃあ、また今度遊ぼう』みたいな感じで暖かい言葉をかけてもらえていて…。そうですね、特に不自由というのは、ないです。『あいつ身体がちょっと弱いのかな』みたいなイメージでつき合ってもらえて、受け入れてもらえているので、充実した大学生活を送れています。
90分の授業も、時々ちょっと眠くなることもありますけど、特に途中で退席しなければいけないとか、そういうこともなく、受けられていて。で、休みが続くということもなく。もうすぐ1年になりますけど、結局、大学に入学してから休んだのは1回だけに(抑えられています)。」