がんと向き合う

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川守田順吉 さん
(かわもりた・じゅんきち)
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北海道江別市在住。印刷会社の総務部にいた58歳(1999年)のとき直腸がん(ステージ3b)が見つかり、手術を受ける。人工肛門を造設し、術後は抗がん剤を3年間服用。好きなバッハと写真にうちこむうちに気持ちが慰められ、退職後は近隣の図書館や大学でボランティア活動を始める。2004年、新たにS状結腸がん(ステージ3a)が見つかり手術を受け、術後は抗がん剤を8ヵ月間服用。患者会「江別わかくさの会」会長。
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3人工肛門に慣れるまで

「最初は洗腸の指導があり、1ヵ月ぐらい試しました。しかし(1回の処置に)2時間ぐらい、と結構時間がかかるのです。2時間かけていると寝る時間がなくなってしまうので、1ヵ月ぐらいで止めました。

それでパウチにしたところ、今度は皮膚があまり頑丈にできていないので皮膚が荒れまして、接触性皮膚炎といって、ひどく真っ黒になってしまいました。そのときやはり下痢があったものですから、パウチをはずして洗ってまたすぐにつけて、はずしている時間がほとんどなかったのです。そのうちに、先生に怒られるぐらいに皮膚がびらん状態になって、すぐに下痢を止める薬を処方してもらって、だんだん落ち着いてきました。」

●夜はおむつをあてる

「夜は比較的落ち着いてるものですから、パウチをはずして、きれいにシャワーを浴びた後におむつをあてて一晩過ごしています。

トイレットペーパーをぴゅーっと伸ばして三つ折りにして、丸めて輪を作りまして。それを人工肛門にあてて、あとはトイレットペーパーを5〜6枚に折ったものを重ねて二重にあてて、さらにタオルをあてています。それを下着で押さえているというような、簡単なおむつです。いや、考えたのです。そのままトイレ流せるということで、それを愛用しています。たいへん安上がりですぐに処理ができて。

でもときには失敗しますよね。朝になったら何かおかしいと。でも割と早い時期にそういう失敗を繰り返したので、早いうちにいろいろと起きてよかったのだろうと思います。」

●通勤中、異変に気付く

「一度、JRで通勤していて電車が事故で止まってしまい、バスで別のルートで帰ってきました。時間が倍ぐらいかかるのですが、バスに乗ると『何か違う・・・おかしい』と気がついたのです。自分の降りる場所まで乗って行こうかどうしようか迷いましたけれども、やはり(匂いがして)普通じゃないので、仕様がなくバスを降りました。それで1時間ぐらいてくてくてくてく歩いて帰ってきました。夏の暑い時期だったのでパウチが浮いていて、そこから匂いが漏れていたのです。自分で気がつきました。」

●人工肛門での工夫
 「パウチに空気を入れておく」

「普段はパウチに少し空気を入れておきます。便が漏れていなければパウチが膨らんだ状態になっていますが、漏れていると中の空気が出てしまうので、ぺちゃんこになります。(服の上から)触って膨らみがなくなっていればイエローカードです。最初からぺたんとさせておくと変化がわからないので、少し空気を入れておくのです。確か病院では『空気は入れないで、ぺたんとさせてくださいね』と指導を受けたと思うのですが、空気を入れることでプラスの面が確認できたので、今はパウチには必ず少し膨らみをもたせています。

何かあったときに、押さえて膨らみがあれば『絶対大丈夫』という安心につながるのですね。たいした工夫ではないのですが、長いこと付き合っていると少しずつ利口になるものです。最近は失敗することはほとんどありません。すっかり慣れてしまったといいますか。」

●排便についての工夫
 「水をよく飲む」

「普通の人よりもたぶん余分に水分をとっていると思います。だから便秘をしないかというと、確証はありませんけれども。たぶん普通の人の倍以上は水を飲んでいると思います。ですから便秘がほとんどありません。1日排便がなくても翌日にはきちんと出てくるので、正常な部類だと思います。」

●看護師さんの一言一言

「まだ自分のストーマをじっくり見ていない時期に看護師さんが来て、『怒鳴りたくなったり、泣きわめいたりしたくなったら、必ず声かけるのよ。何かいい知恵があげられるかもしれないから』と言うのです。『なんで(看護師さんは)あんなことを言ったのだろう』と思ったのですが、そのうちに自分のストーマを見て、『普通の人とやっぱり違う』と。『そうか、こういうことを言っていたのかな』と思いました。みなさんの一言一言や、ちょっとした動作に声をかけてくれるのはありがたかったです。ずいぶん元気づけられました。

それで人工肛門をケアするときも、『どのパーツをどこへ置いて、これはここへ置いて、順序はこうして』と自分で組み立てて合理的にケアするようにしていました。そうすることによって安心して楽にできるという。仕事の進め方というのは、『無理しないで楽に』というのがいちばんなのですね。

でも看護師さんが私のその様子を見て、笑っているのです。『なんでそんなことしているの?とにかく肩の力を抜いて、自然にやっていればいちいち考えなくてもちゃんと(動作が)流れていくから』と言われて、『そうかな』と思いました。

血液型がA型だったので、とにかく『決められたことをしっかりと』という気持ちがあったのですが、それではいけないのですね。やはり踏ん張って肩に力を入れてやることじゃない。『そのうち自然に流れていくから忘れましょう』と。それでまた病院の大ファンになりました。とにかく看護師さんたちにはずいぶん助けられて、勇気をもらって元気になりました。」