がんと向き合う

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川村正司 さん
(かわむら・まさし)
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岩手県盛岡市出身。2000年(52歳)に直腸がんが見つかる。経営していた会社を1ヵ月で引き継ぎ、直腸がん(ステージ2)切除術を受け人工肛門を造設。術後は不安な気持ちが常にあったが、日本オストミー協会を通じて多くの仲間と知り合うことで人生観が変わり、全国のオストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)のQOL向上をめざして活動を開始。ブログ「オストミー・カフェ」。趣味はお祭りでのお神輿担ぎ(盛岡八幡宮南會)。
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4病院でのオストメイト相談日

「大腸がんなる前までは病気には縁遠くて、病院のにおいをかぐのもいやな人間でしたが、今は好きになっちゃって。今までお医者さんは『偉い人なんだな』と思うくらいでしたが、入院しているときにお医者さんといろんなコミュニケーションをとって非常に近く感じて、看護師さんも非常に近く感じていろんな相談をしました。それで若い主治医だったので『一緒に病院の中にオストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)の患者会を作ってくれませんか』と提案したんです。先生は『患者会はダメだけども、がん患者家族サロンを作ろうと思っているので、そのなかにオストメイト相談日を作りましょう』と言って、1ヵ月に1回、月曜日の午前中にその時間を取ってもらいました。

オストメイト相談日
オストメイト相談日に配布される手作りの小冊子
毎月『食事』『におい』『夏場の汗の対策』『冬場の寒さ対策』・・と題を決めて、みんなでフリートーキングする。『自分はこんなときに困ったんだけど、これについてはどう?』と言うと、みんながそれについて話をして、また別の話があるとその話をして、『あはは』『うふふ』と笑いながら話しているんですよ。それがとってもいい雰囲気でね。そういう形で『人生いかにもう少し肩の力を抜いて、病気のことばかり考えるんじゃなくて、少し別な視点で物事を見てみましょう』というのを念頭に今やっています。」

●オストメイトのQOL向上のために

「(岩手の)若いお医者さんたちは、『もっとオストメイトと一緒に話をしよう。QOL(生活の質)を向上するには術前からの問題があるから、オストメイトからの意見を聞いて“どういうふうに手術すればいいのか”という話は必要じゃないですか』ということで、年に1回、WOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)さんとお医者さんとで一緒に“岩手ストーマ研究会”を開いています。5年ぐらい前からその研究会の発表にオストメイトも参加させてもらっていて、ひとりひとり交代で自分の実体験を20〜30分説明させていただいています。今まではそういうことは絶対に考えられなかったのですが、医療側もずいぶんそういう形で開いていただいているので、これから来るオストメイトの方々も環境はよくなるのではないかと思っています。」