がんと向き合う

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川村正司 さん
(かわむら・まさし)
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岩手県盛岡市出身。2000年(52歳)に直腸がんが見つかる。経営していた会社を1ヵ月で引き継ぎ、直腸がん(ステージ2)切除術を受け人工肛門を造設。術後は不安な気持ちが常にあったが、日本オストミー協会を通じて多くの仲間と知り合うことで人生観が変わり、全国のオストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)のQOL向上をめざして活動を開始。ブログ「オストミー・カフェ」。趣味はお祭りでのお神輿担ぎ(盛岡八幡宮南會)。
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9オストメイトの災害対策
●どんな装具でも使えるように

「今回の大震災では、各地区の対策本部にストーマ装具を置いたのですが、みなさんの使っているものと違うものも当然あるわけです。そうすると、『これは私の使っているのじゃないからダメです』と言って持っていかないんですね。でもそれは困るんです。『たいへんだから、まず使いなさい』と言うのですが、『俺のと違う』と言ってダメになっちゃうんです。ですからオストメイト自身が、いつも使っている装具じゃなくても使えるように日頃訓練しておく、どういう装具であってもまず使うということです。」

●各所に2週間分の装具を

災害時のための携帯ハンドブック
『災害時のための
携帯ハンドブック』
日本オストミー協会
岩手県支部 作成
「オストミー協会本部では『(緊急用に)1ヵ月分』と言っていますが、私は『最低でも2週間分の装具を持ちなさい』と言っています。私は散歩するときでもなんでも小さなバッグを持っていて、中には装具を2枚(2週間分)入れています。どこに行くにもお財布と一緒に持って歩いています。装具を持って歩くとことを習慣づけないとダメだと思います。

それから1ヵ所に置いていると、今回の津波のように根こそぎみんな持って行っちゃうので、『必ず分散して置いておきなさい』とお伝えしています。たとえば今回津波に遭った方で、『1階に置いていた装具は持っていかれて2階に置いてあるのが助かったのでよかった』という方がいらっしゃいます。自分を守るためには、まず装具を至るところに置いておく。お孫さんのところでもいいでしょうし、娘さんが嫁いだ先でもいいでしょう。想定して置いておくということも功を奏すと思いますね。」

●避難所では、自分の背中は自分で押して

防災ガイドブック
『防災ガイドブック』
岩手医科大学
学生有志 制作
「オストメイトであるわれわれがしなければいけないことは、『(避難所では)まず自分で自分の背中を押しなさい』ということです。自分で押さないと、一歩も前に出られない。手を差し伸べたいという方がいても、われわれは内部障害者ですから相手から見えない。『それを自分たちで理解することがいちばんでしょ』ということを伝えるようにしています。『恥ずかしいことでも何でもない、大丈夫ですから』と言うのですが、なかなかこれが絵に描いた餅のようにはうまくいかないですよね。」