統合失調症と向き合う

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藤井康男さん
萱間真美さん
(かやま まみ)
聖路加看護大学精神科看護教授
1986年聖路加看護大学卒業。質的研究方法を用いて、ケア技術やさまざまな状況にあるケア対象者の主観的体験に関する多くの研究に参画している。精神障害者の退院促進および地域ケアを支えるサービス提供のあり方、精神科訪問看護の実態と効果なども研究。
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8地域で生活するために
Q.地域で生活する上で留意することは?

「もともと住んでいらっしゃった地域で暮らされるのであれば、当事者のほうがずっと、そこの地元の方でいらっしゃるので、私どもが何か申しあげるようなことはないかもしれないと思うのですけれども。例えば、入院を機に病院の近くでアパートを新しく借りられて、新しい人間関係を作るとか、実家を離れてグループホームに住まれるとか、生活が変化するような場合もあるかもしれないと思うんですね。もともと精神障害の方というのは、対人関係でいろいろと問題を抱えたり、難しい、なかなかしんどい思いをされることも多いので、ちょっと具合が悪くなると、というかしんどくなると人と話したくないなとか、人と関わりたくないなぁとか思ってしまうことがあるようで、そうするとますます周りの人は分からないし、何をしてさしあげていいのか分からない。

で、当事者の方は孤立されてしまって、ますます援助の手が得られなくなるということがあるようなんですね。それなので、やっぱり、誰かに話をしてほしいと思うんです。それは話しやすい人で構わないと思うんです。例えば、当事者同士のお友達の関係がいちばん良ければ、それでもいいですし、デイケアスタッフや外来の看護師や主治医や、ほんとに話しやすい人で構わないので、誰か話せる人を作るというのが、とても大切なことかなぁと思います。

たいていのことは、交渉すればどうにかなることが多いので、『こうじゃなくちゃいけない』とか、『自分達は、障害や病気を持っているから、こうしないといけない』とかということではなくて、そのへんが病院とは違うところ。病院は規則があって、『療養していただく方は、こうしていただきます』ということがありますけど、地域は、暮らす人がそこの主でいらっしゃるので、一緒に交渉をして、生活がしやすいようにしていくことが大事かなと思います。」

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