「いわゆる大腸がんの症状、血便が出たり、便秘と下痢を繰り返したりというのは一切なかったのです。普通に順調なお通じがあって、全然疑いもしませんでした。ちょっとこのジーパンがきついな・・・という感じはありましたが、太ったのだろうと放っておいて、だんだんお腹が膨らんできちゃったのです。これは何か腹部膨満とか、胃が悪くてガスがたまっているとかそういうものかと思い、近くの胃腸科に行きました。『こんなふうになっちゃったのですけど』と言うと『ガスがたまっているみたいだね』と言われて、胃のお薬をもらい、『2週間後に胃カメラ』と言われて帰ってきました。どうも体重も増えるし、お腹の出っ張り方が尋常ではなかったので、お医者さんをしていた友達の旦那さんに電話をかけて、『こんなふうなのですけど』と言うと、『じゃ、うちの病院で検査して』と言われました。そこで検査をすると、『卵巣がものすごく腫れていますよ』ということで、その病院は婦人科がなかったので、婦人科のある病院を紹介されました。そこでもう少し詳しく検査をしたら、どうも『卵巣が悪性の腫瘍らしい』ということで、そこの病院は悪性を扱わないため『済生会福岡総合病院か、九州がんセンターを紹介します』ということになりました。悪性の腫瘍と言われたときに、『あら、それってがんだよね』とうすうすは思いました。
病院は済生会のほうが行きやすいし便利なので、とりあえず済生会病院に行って診断を受けました。『これは卵巣がんですね。即入院して切りましょう』と言われ、入院の準備をました。手術前の事前検査で大腸内視鏡検査をすると『大腸にあるほうが原発じゃないか』と言われ、検査をした結果『大腸が原発で、卵巣は転移先です』ということでした。そして『ステージ(病期)4です。何もしなければ余命半年です』と宣言されました。ステージ4のS状結腸がんですね。
余命半年もショックではあったのですが、そのときいちばん下の子が小学校3年だったので、“余命半年”とか言っている場合ではなくて、『先生すみません、5年は死ねないので、よろしくお願いします』と言いました。ショックはショックだったのですが、それには同意できないよという感じでした。否定はしませんでしたけれども、余命半年と言われたからどっと落ち込むということではなかったですね。」